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既存住宅の市況トレンド-首都圏・近畿圏

ここでは、首都圏と近畿圏における既存(中古)マンションと既存(中古)戸建住宅の市況について、四半期ベースで最新トレンドを紹介します。

首都圏市場の動き

東日本不動産流通機構※1が公表した首都圏の既存マンションと既存戸建住宅の件数と価格をみると、平成29年に入り取引が鈍化する様子がうかがえます(図表1)。平成29年7~9月期の既存マンション成約件数は8,791件で前年比プラス0.8%と、10四半期連続で前年同期を上回りましたが、ほぼ横ばいにとどまりました。同じ期の新規登録(売り出し)件数は47,270件で前年比マイナス0.4%と、3四半期連続で前年同期を下回りました。流通量の水準は低くありませんが、成約件数は横ばいで新規登録件数は減少しており、既存マンション市場に一服感が広がっています。

図表1 首都圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

図表1 首都圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

資料:「季報Market Watch サマリーレポート」 (公財)東日本不動産流通機構を元に作成

一方、既存マンションの成約価格は平成25年以来の上昇が続いており、新規登録価格もプラス基調にあります。平成29年7~9月期の平均成約価格は3,204万円と前年比で5.1%上昇し、新規登録価格も3,142万円で同2.2%上昇しました。市場の平均価格を比較すると、成約価格は新規登録価格を上回っており、売り物件の中でも比較的高額な物件が活発に取引されているようです。ただ、直近の前期比は新規登録価格が下落に転じており、売り出し価格の調整が進みつつあります。

既存戸建住宅の成約件数は、平成29年7~9月期が3,006件と前年比で4.5%減少し、3四半期連続で前年同期を下回りました。同じ期の新規登録件数は15,105件と前年比で3.7%増加し、2四半期連続で前年同期を上回りました。平成29年7~9月期の成約価格は3,080万円で前年比マイナス0.1%とほぼ横ばいでしたが、新規登録価格は3,838万円で前年比プラス2.2%と、6四半期連続で前年同期を上回りました。既存戸建住宅の平均成約価格は新規登録価格を下回っており、安価な物件を求める戸建需要が多い中で、売り出し価格の上昇が取引の減少につながったものとみられます。

平成29年に入ってから首都圏の既存マンションの売り出し価格は頭打ちの状況にあり、売り物件数も減少し始めました。一部の富裕層や不動産投資家、業者間取引などに支えられてきた既存マンション市場ですが、物件価格の上昇に伴い一般的な住宅取得層の購入意欲は減退しているようです。既存戸建取引も弱含みの傾向にあり、市場は全体的に踊り場の様相が鮮明になっています。

近畿圏市場の動き

近畿圏は、首都圏に比べて既存戸建市場を中心に軟調さが目立ちます。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の既存マンション成約件数をみると、平成29年7~9月期は3,978件と前年比で1.8%増加し、2四半期連続で前年同期を上回りました。同じ期の新規登録件数は14,648件と前年比で8.0%増加し、10四半期連続で前年同期を上回っています(図表2)。首都圏と異なり既存マンションの売り物件は増え続けており、需給バランスは緩和方向にあります。

図表2 近畿圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

図表2 近畿圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

資料:「季刊市況レポート・市況トレンド」 (公社)近畿圏不動産流通機構を元に作成

平成29年7~9月期の平均成約価格は2,079万円と前年比で3.7%上昇し、首都圏と同じく平成25年以降の上昇が続いています。新規登録価格は2,135万円で前年比プラス0.2%と、ほぼ横ばいでした。ただ、前期比では4~6月期に成約・新規登録価格とも下落するなど、価格の上昇に歯止めがかかりつつあります。成約価格と新規登録価格の差は以前に比べて縮小しており、売り物件の中で比較的高額な物件が取引されやすい状況が続いています。

既存戸建住宅の成約件数は、平成29年7~9月期が2,842件と前年比で3.2%減少しました。一方、新規登録件数は12,818件と前年比で1.8%増加し、6四半期ぶりに前年同期を上回りました。同じ期の成約価格は1,826万円で前年比プラス0.3%、新規登録価格は2,316万円で同プラス0.5%と、双方ともほぼ横ばいになっています。前期比ではマイナスの動きもみられ、既存戸建住宅の平均成約価格が既存マンション価格を下回っていることもあり、既存戸建住宅に対する需要は弱含みとなっています。

以上みてきたように、首都圏と近畿圏では既存マンション、既存戸建市場はともに踊り場を迎えているようです。首都圏では新築住宅価格の高止まりで既存住宅への関心が引き続き高く、都心の既存マンションなどに対する需要は根強いものがあります。ただ、実需を中心とする既存戸建市場をみる限り軟調な動きも目立つことから、物件価格の安定に加え賃金の上昇など実質的な取得能力の向上が期待されます。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照して下さい。



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