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既存住宅の市況トレンド-首都圏・近畿圏

今回は、首都圏と近畿圏における既存(中古)マンションと既存(中古)戸建住宅の市況について、四半期ベースで最新のトレンドを紹介します。

首都圏市場の動き

東日本不動産流通機構※1が公表した首都圏の既存マンションと既存戸建住宅の件数と価格をみると、平成29年に入ってから市場の変化がうかがえます(図表1)。既存マンションの成約件数は、平成29年1~3月期が10,041件で前年比2.6%増と、8四半期連続で前年同期を上回りました。一方、新規登録(売り出し)件数は平成29年1~3月期が49,503件と前年比で1.6%減少し、14年10~12月期以来9四半期ぶりに前年同期を下回りました。これまで増加基調にあった売り物件数が減少に転じたことで、既存マンション市場の需給はややタイトになっています。

図表1 首都圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

図表1 首都圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

資料:「月例速報Market Watch」 (公財)東日本不動産流通機構を元に作成

既存マンションの平均成約価格は平成25年から4年に渡る上昇が続いており、新規登録価格もプラス基調に変化はありません。平成29年1~3月期の成約価格は3,146万円と前年比で3.7%上昇し、新規登録価格も3,132万円で同2.0%上昇しました。あくまで市場平均の比較ですが、成約価格は新規登録価格を上回っており、売り物件の中でも比較的高額な物件が取引されやすい状況にあります。ただ、前期比では成約価格、新規登録価格ともほぼ横ばいとなっており、平成29年に入ってから価格の上昇に歯止めがかかっています。

既存戸建住宅の成約件数は、平成29年1~3月期が3,320件と前年比で4.6%減少し、8四半期ぶりに前年同期を下回りました。同じ期の新規登録件数は15,919件と前年比で5.1%減少し、6四半期連続で前年同期を下回りました。平成29年1~3月期の成約価格は3,080万円で前年比プラス0.7%にとどまる一方、新規登録価格は3,814万円と前年比で5.4%上昇し、4四半期連続で前年同期を上回りました。既存戸建の平均成約価格は既存マンションを下回っており、安価な物件を求める戸建の需要が多い中で、売り出し価格の上昇や物件数の減少で市場の選択肢が減ったことが、取引の減少につながったものとみられます。

上昇基調にあった首都圏の既存マンション価格ですが、ここにきて頭打ちの状況にあります。売り物件数も減少するなど、富裕層や投資家向けの高額物件や業者間取引などに支えられてきた既存マンション市場も踊り場に差しかかっているようです。既存戸建市場も値頃感から堅調に推移してきましたが、売り出し価格の上昇に需要が追いつかなくなるなど、今年に入ってから弱含みの傾向がみられます。

近畿圏市場の動き

近畿圏は、首都圏より軟調さが目立ちます。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の既存マンション成約件数をみると、平成29年1~3月期は4,528件で前年比マイナス0.1%と、前年同期をやや下回りました。一方、同じ期の新規登録件数は15,051件と前年比で4.2%増加し、8四半期連続で前年同期を上回っています(図表2)。既存マンション市場の売り物件は増えていますが、取引はほぼ横ばいで需給は緩和方向にあります。

図表2 近畿圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

図表2 近畿圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

資料:「季刊市況レポート・市況トレンド」 (公社)近畿圏不動産流通機構を元に作成

平成29年1~3月期の平均成約価格は2,092万円と前年比で3.6%上昇し、首都圏と同じく約4年にわたる上昇が続いています。新規登録価格は2,140万円と前年比5.0%上昇し、8四半期連続で前年同期を上回りました。ただ、前期比はマイナス0.7%と8四半期ぶりに下落に転じ、売り出し価格の上昇にも歯止めがかかりつつあります。首都圏ほどではありませんが、成約価格と新規登録価格の差は縮小しており、売り物件の中で比較的高額な物件が取引されやすい状況がみられます。

一方、既存戸建住宅の成約件数は平成29年1~3月期が2,916件と前年比で6.8%減少し、8四半期ぶりに前年同期を下回りました。新規登録件数は13,177件と前年比で7.8%減少し、4四半期連続で前年同期を下回りました。成約・新規登録件数ともにマイナスとなったのは消費増税後の平成26年10~12月期以来のことです。同じ期の成約価格は1,861万円で前年比プラス0.5%、新規登録価格は2,316万円で同プラス0.9%と、双方とも5四半期連続で前年同期を上回りましたが、上昇は大幅に鈍化しています。既存戸建価格は依然として既存マンション価格を下回り、値頃感は維持されていますが、次第に弱含みの傾向が顕在化してきました。

上記のように、首都圏・近畿圏では既存マンション、既存戸建住宅ともに市場の軟調さが目立ちます。上昇基調にあった既存マンション価格も前期比では横ばいとなっており、買主側も売主側もこれ以上の価格の上昇は許容しづらくなっているようです。実需が中心で値頃感から堅調に推移してきた既存戸建市場も変調を来たしていることから、既存住宅市場の下支えには実質賃金の伸びなどによる取得能力の改善が喫緊の課題になっていると言えそうです。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照して下さい。



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