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既存住宅の市況トレンド-首都圏・近畿圏

今回からは、既存住宅市場を中心に物件の件数や価格の動きなどについて、四半期ベースで最新のトレンドを紹介します。ここでは中古マンションと中古戸建住宅に関する首都圏と近畿圏の市況について捉えてみたいと思います。

首都圏市場の動き

東日本不動産流通機構※1が公表しているデータから首都圏の既存住宅市場をみると、中古マンションと中古戸建住宅の動きに違いがみられます(図表1)。中古マンションの成約件数は平成28年1~3月期が9,784件で前年比3.4%増と、4四半期連続で前年同期の件数を上回りました。新規登録(売り出し)件数は平成28年1~3月期が50,319件で前年比17.4%の2ケタ増となり、5四半期続けて前年同期を上回っています。売り物件数が成約件数を凌ぐ勢いで増加しており、好調に推移してきた首都圏の中古マンションの需給は緩和しつつあります。

図表1 首都圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

図表1 首都圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

資料:「季報Market Watch」 (公財)東日本不動産流通機構を元に作成

これに対して、首都圏の平均成約価格はアベノミクスが始まった平成25年1~3月期から3年にわたる上昇が続いています。新規登録価格も、平成26年4月の8%への消費増税直後を除くと概ね上昇傾向にあります。平成28年1~3月期は成約価格が3,033万円で前年比4.9%上昇し、新規登録価格も3,071万円で同9.8%上昇しました。平成26年から27年にかけては、成約価格が新規登録価格を上回るなど需要の強さがみられましたが、足元では逆転しており急上昇する売り出し価格に需要が追いつかなくなる傾向にあります。

一方、中古戸建住宅の成約価格は平成28年1~3月期が3,059万円で前年比1.3%下落、新規登録価格も3,619万円で同マイナス0.6%と弱含みの傾向にあります。しかし、成約件数は平成28年1~3月期が3,479件で前年比16.2%の2ケタ増となり、4四半期連続で前年同期を上回りました。これに対して新規登録件数は前年比で2四半期続けて減少し、首都圏の中古戸建住宅市場の需給はややタイトになってきました。

首都圏では中古マンションに対する富裕層やインバウンド投資による取得が目立つほか、不動産会社による買取再販ビジネスも盛んで、需給は緩和方向にあるにもかかわらず売り出し価格は上昇しています。ただ、都心などでは既に価格の伸びが頭打ちとなっており、実質賃金も上がらない中でこれ以上の上昇は考えにくくなっています。一方、中古戸建の成約価格は比較的安定しており、相対的な割安感が強まる中で戸建取引は拡大が続くものと予想されます。

近畿圏市場の動き

近畿圏市場も首都圏と類似した動きを示しています。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の中古マンション成約件数は、平成28年1~3月期が4,533件と前年比で1.5%減少し、5四半期ぶりに前年同期を下回りました。一方、同じ期の新規登録件数は14,445件で前年比19.5%の2ケタ増となり、4四半期連続で前年同期を上回っています(図表2)。増え続ける売り物件に購入需要が追いつかない状況がみられ、需給は緩和方向にあります。

図表2 近畿圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

図表2 近畿圏における既存住宅の流通件数・価格の推移

資料:「季刊市況レポート・市況トレンド」 (公社)近畿圏不動産流通機構を元に作成

平成28年1~3月期の平均成約価格は2,020万円と前年比で7.0%上昇し、首都圏と同じく3年にわたる上昇基調に変化はありません。新規登録価格も8%への消費増税後は一時上昇が鈍化しましたが、平成27年後半からは再び上昇傾向が強まっています。成約・新規登録価格とも上昇していますが、成約件数が減少に転じていることから、中古市場本来の値頃感のある物件取引は停滞している様子がうかがえます。

一方、中古戸建住宅の成約件数は平成28年1~3月期が3,128件で前年比9.0%増と、4四半期連続で前年同期を上回りました。新規登録件数は14,297件で前年比1.1%増にとどまり、需給はややタイトになっています。同じ期の成約価格は1,851万円で前年比2.9%上昇、新規登録価格は2,295万円で同プラス0.2%と、双方とも6四半期ぶりに前年同期を上回り、価格面でも需要の回復がみられます。

このように、首都圏・近畿圏とも好調だった中古マンション市場に変化の兆しがみられるのに対し、中古戸建市場では安定した価格を背景に堅調な取引が目立ちます。中古マンション市場では売り圧力が高まっていますが、購入者にとっては物件の選択肢の拡大につながり、必ずしも悪い環境ではありません。マイナス金利の導入や消費増税の再延期で既存住宅市場にも追い風が吹いており、当面は中古戸建を中心に堅調に推移することが考えられます。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」、及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照して下さい。



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