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マインドが示す不動産市場の動向

前回までは、既存住宅市場や土地市場の動きについて、件数や価格など物件に関する様々なデータを紹介してきました。今回は、物件取引のプレイヤーである不動産事業者や消費者のマインド面(市況に対する意識)から市場の動きを捉えてみたいと思います。

プロの目からみた市場の動き

市場の動きを常に敏感にキャッチしているのは、取引に従事している不動産事業者です。その事業者の経営状況を定期的に調査しているのが、(一財)土地総合研究所による「不動産業業況等調査」です。この調査では、不動産業を営む企業を対象に、不動産流通業(住宅地)や住宅・宅地分譲業、ビル賃貸業の別に3ヶ月ごとの経営の現状や見通しについてアンケートを行っています。その結果は不動産業業況指数として示され、回答企業の全ての経営状況が良い場合は+100、悪い場合は-100となり、±0が判断の分かれ目となります。

平成28年1月調査では、不動産流通業の現状が+2.9、3ヵ月後の見通しは-2.1となっており、先行きの悪化が見込まれています。住宅・宅地分譲業は現状が+20.7、3ヵ月後の見通しは±0.0と現状は良いものの、先行きはやはり不透明感が高まっているようです。一方、ビル賃貸業の現状は+8.3、3ヵ月後の見通しは+16.7と今後の改善が見込まれ、一口に不動産市場といっても業態によって差がみられます(図表1)

図表1 不動産業界における業況判断

図表1 不動産業界における業況判断

資料:「不動産業業況等調査」(一財)土地総合研究所

この調査は、三大都市圏や地方主要都市の不動産事業者149社が対象で、地域別の動きまでは捉えられませんが、過去の推移をみると市況を確実にトレースしていることがわかります。ミニバブルが指摘された平成19年当初、3業種の指数は+10~+20と経営状況は良好でした。しかし、その後は急速に悪化し、平成21年1月に不動産流通業は-69.4、住宅・宅地分譲業は-61.9まで低下しました。

リーマンショックは平成20年9月に起きましたが、不動産事業者はその数ヶ月前から市場の変調を捉えていたようです。特に、不動産流通業は平成19年7月時点で±0を下回り、売主と買主のマッチングを行う流通業は、市況に敏感とみられます。一方、ビル賃貸業は遅効性があり、指数が最も落ち込んだのは平成22年1月(-42.3)でした。企業業績の悪化がオフィス需要に波及するには時間がかかり、回復も遅れる傾向にあるため、ビル賃貸業がプラスに転じたのはアベノミクス開始から1年以上経ったから平成26年7月でした。

消費者のマインドも注視すべき

プロの業況判断に対し、一般消費者の購入マインドも市況の判断材料になります。(一社)日本リサーチ総合研究所が公表している「不動産購買態度指数(消費者心理調査)」は、今後1年間、不動産を購入するのに買い時かどうかを尋ねたもので、2か月ごとに調査が行われています。買い時と買い時でない状況が均衡している指数が100であり、それより大きければ良好、小さければ悪化と判断します。

平成27年12月調査では、関東が102と10月調査時点から11ポイント改善し、買い時感が増しました。一方、近畿は88と10月比でほとんど上昇しておらず、買い時感の改善が遅れています。首都圏では新築マンション価格の上昇が続き、相対的に安価な中古マンション取引が増加しています。価格が安定している中古戸建も値頃感から需要を集めており、マインドの改善がこうした動きにもつながっているとみられます(図表2)

図表2 消費者の不動産購入マインド

図表2 消費者の不動産購入マインド

資料:「不動産購買態度指数」(一社)日本リサーチ総合研究所

不動産購買態度指数も、不動産市場のトレンドを表しています。平成19年当初は100を超えて買い時感が台頭していましたが、その後は大幅に悪化し関東・近畿とも平成20年8月に60台まで低下しました。しかし、平成21年には再び100を回復し、プロの業況判断に比べて早期に改善しました。これは、景気の悪化で物件価格が下落し、買い時感が高まったことが要因とみられます。また、関東では東日本大震災後の平成23年8月には指数が84に低下したほか、消費増税の影響が現れた平成25年10月以降はほぼ100を下回るなど、その時々の購入マインドをはっきりと表しています。

このように、不動産事業者の景況感や消費者の購入マインドを示すデータからも、市場の動きが捉えられます。特に、不動産流通業の業況判断や消費者の買い時感は、市況を敏感に反映する傾向にあり、住宅の購入・売却時期を判断する上で参考になります。購入マインドが高まっている時は売却のチャンスであり、市場全体が弱気になっている時は購入が容易になることもあります。物件の取引件数や価格の動きを捉えることはもちろんですが、上記のようなマインド面のデータも注視する必要があると言えるでしょう。

 詳しくは「不動産業業況等調査」、及び「不動産購買態度指数」を参照して下さい。



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