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既存住宅市場の現状-(8)中古戸建住宅の建物面積

前回は、2大都市圏の中古戸建住宅の取引価格について取り上げました。今回も、首都圏・近畿圏について、中古戸建住宅に関する建物面積(延床面積)の動きを紹介したいと思います。

首都圏の中古戸建住宅成約・新規登録物件の建物面積

前回示したように、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)と近畿圏(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)の中古戸建住宅価格は、ミニバブルの時期を除いて概ね弱含みの傾向にありましたが、首都圏では近年再び上昇する動きがみられます。住宅購入時の条件として、価格とともに重要な判断材料となるのが住宅の規模です。ここでは、取引物件の建物面積の推移についてみることにします。

東日本不動産流通機構※1が公表している首都圏の成約中古戸建住宅の建物面積をみると、平成26年度は105.8㎡で15年前の平成12年度(100.4㎡)に比べて5.4㎡拡大しています(図表1)。以前より広さにゆとりのある中古戸建が取引されるようになっていますが、過去5年ほどは概ね105㎡台で推移しており、規模の拡大は落ち着いています。新規登録物件も平成26年度の建物面積は112.8㎡と平成12年度(106.2㎡)比で6.6㎡広くなっていますが、過去15年で最大だったのは平成22年度(114.1㎡)でそれ以降、拡大の動きはみられません。なお、ここでいう成約物件の建物面積は、上記の機構に報告された実際の取引物件の戸当たり平均面積を、新規登録面積は販売目的で機構に登録された売り出し物件の平均面積を示します。

過去15年間を振り返ると、中古戸建の建物面積は価格や件数ほど大きな変化は示しておらず、成約・新規登録物件とも緩やかに拡大してきました。以前紹介した首都圏の中古マンションでは新規登録より成約物件の専有面積が大きく、流通する売り物件の中で広めの住宅を求める傾向がみられましたが、中古戸建では成約物件の建物面積は新規登録物件より小さくなっています。物件価格に占める地価の割合が高い中古戸建では、総額を抑えるためにやや狭い住宅が選択される傾向があるようです。

建物面積と価格の関係をみると、安価でゆとりある中古戸建を求める傾向が強まってきたことがわかります(図表1・下図)。平成12年度の成約物件は平均価格3,514万円・建物面積100.4㎡であったのに対し、平成26年度は2,958万円・105.8㎡と、この間に価格は15.8%下落する一方、面積は5.4%拡大しています。ミニバブルが指摘された平成18~19年度は価格の上昇が目立ちましたが、その後はリーマンショックや東日本大震災を経てより安価な中古戸建を求める動きが再び強まりました。ただ、直近の平成27年度は、建物面積はほぼ変わらないものの成約価格は上昇が続いており、中古マンションと同様に東京都区部などを中心に中古戸建の需要も高まっているようです。

図表1 首都圏中古戸建住宅の建物面積の推移

図表1 首都圏中古戸建住宅の建物面積の推移

■成約物件の建物面積と価格の変化

資料:(公財)東日本不動産流通機構のデータをもとに作成
注)首都圏:東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県
近畿圏の中古戸建住宅成約物件の建物面積

近畿圏は、首都圏に比べて取引される中古戸建住宅の建物面積が狭くなる傾向にあります。近畿圏不動産流通機構※2が公表した成約物件の建物面積は、平成26年度が104.6㎡と首都圏より1.2㎡狭くなっています。ただ、平成12年度(98.3㎡)に比べると6.3㎡拡大しており、拡大幅は首都圏を上回ります(図表2)

建物面積の拡大が頭打ちの傾向にあるのは首都圏と同じですが、平成17年度や23~24年度を除くと一貫して拡大基調にあり、平成26年度の水準は過去15年間で最大となっています。特に面積が大きく拡大したのは平成12~16年度ですが、この頃は成約価格の下落が進み、郊外だけでなく大阪市内や阪神間など地価の高いエリアでも広い中古戸建を求めやすくなったことが背景にあります。

建物面積と価格の関係も首都圏に類似しており、より安価でゆとりある中古戸建を求める傾向が強まりました(図表2・下図)。近畿圏の平成12年度の成約物件は平均価格2,594万円・建物面積98.3㎡であったのに対し、平成26年度は1,816万円・104.6㎡と、この間に価格は30.0%下落、面積は6.4%拡大しました。平成18~19年頃のミニバブルの影響は比較的少なく、リーマンショック後の落ち込みも大きかったことから、価格の下落率は首都圏を大幅に上回っています。

図表2 近畿圏中古戸建住宅の建物面積の推移

図表2 近畿圏中古戸建住宅の建物面積の推移

■成約物件の建物面積と価格の変化

資料:(公社)近畿圏不動産流通機構のデータをもとに作成
注)近畿圏:大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山の2府4県

首都圏と同水準の建物面積でありながら成約価格は1千万円以上安く、近畿圏の中古戸建は割安感がありますが、成約価格の下落は平成27年度も続いています。高額物件を求める富裕層が首都圏より少ない点などが背景にあるとみられますが、実質所得の上昇で実需が盛り上がればより広い住戸を求める動きも顕在化する可能性があります。

以上のように、中古戸建の住戸規模も価格と合わせてみることで、市場の動きやその背景などを捉えることができます。少子高齢化や小世帯化に伴い、規模の大きな戸建住宅を求める動きは変化していくと考えられますが、安価な中古戸建は今後もファミリー層などの受け皿として重要な位置を占めるとみられます。住宅ストックの大多数を占めるのは今も戸建住宅であり、実需をメインターゲットとする中古戸建はこれからも多様な選択肢を提供していくことでしょう。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照



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