トップ相場・取引動向データトピックス>既存住宅市場の現状-(7)中古戸建住宅取引価格

データトピックスアーカイブス ~データで読む市場の今~

既存住宅市場の現状-(7)中古戸建住宅取引価格

前回は、2大都市圏の中古戸建住宅取引件数について取り上げました。今回は、首都圏・近畿圏における中古戸建価格の動きについて紹介したいと思います。

首都圏の中古戸建住宅成約価格・新規登録価格

前回紹介したように、中古戸建住宅流通量は過去15年間で景気変動や震災、消費増税などの影響を受けつつも、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)では概ね横ばい、近畿圏(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)は増加基調で推移してきました。ここでは、取引ボリュームとともに市場の需給状況を示す価格の動きについてみることにします。

東日本不動産流通機構※1が公表している首都圏の中古戸建住宅の成約価格をみると、平成26年度は2,958万円で15年前の平成12年度(3,514万円)に比べて15.8%下落しました(図表1)。新規登録価格も平成26年度が3,621万円で、平成12年度(4,247万円)に比べると14.7%低い水準にとどまります。中古マンション価格はこの間上昇しており、中古戸建住宅については需要の弱さがうかがえます。なお、ここでいう成約価格は上記の機構に報告された実際の取引物件の平均価格で、新規登録価格は販売目的で機構に登録された売り出し物件の平均価格を指します。

図表1 首都圏中古戸建住宅の成約・新規登録価格の推移

図表1 首都圏中古戸建住宅の成約・新規登録価格の推移

資料:(公財)東日本不動産流通機構のデータをもとに作成
注)首都圏:東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県

過去15年間を振り返ると、取引件数と同様に様々な外部要因の影響を受けてきたことがわかります。中古マンション価格のトピックスでも指摘したように、東京を中心にミニバブルの様相を呈していた平成18~19年度は中古戸建価格も上昇が目立ち、平成19年度には新規登録価格が前年比11.8%の大幅上昇となりました。

しかし、平成20年度にはリーマンショックが発生し、成約価格は前年比で6.0%下落、新規登録価格も平成21年度にかけて5~7%台の下落を示しました。その後、下落は収束しましたが、東日本大震災が発生した平成23年度以後は再びマイナス基調となり、成約価格が上昇に転じたのは消費増税後の平成26年度でした。

前回紹介したように、平成26年度の成約件数は大きく落ち込んでおり、本来のボリュームゾーンである安価な中古戸建物件の取引は縮小しています。中古マンション価格に比べて上昇率が低く、上昇する年次も少ないことから、中古戸建市場は総じて弱含みの傾向にあります。ただ、平成27年度に入ってからは消費増税後の落ち込みの反動もあり、件数・価格とも前年比でプラス基調となっており回復の動きもみられます。

近畿圏の中古戸建住宅成約価格・新規登録価格

近畿圏は、首都圏に比べるとさらに価格の回復が遅れています。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の成約価格をみると、平成12年度は2,594万円でしたが平成26年度は1,816万円と15年前から30.0%下落しました。平成26年度の新規登録価格も2,320万円と、平成12年度(2,898万円)に比べて19.9%下落しています(図表2)

図表2 近畿圏中古戸建住宅の成約・新規登録価格の推移

図表2 近畿圏中古戸建住宅の成約・新規登録価格の推移

資料:(公社)近畿圏不動産流通機構のデータをもとに作成
注)近畿圏:大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山の2府4県

近畿圏でも平成18~19年度にかけて成約価格が上昇し、新規登録価格も平成17年度から3年間にわたって上昇しましたが、上昇率は首都圏に比べて低い水準にとどまっています。平成20年度のリーマンショック後は下落が続き、プラスに転じたのはアベノミクスが取りざたされた平成25年度でした。この間、成約件数は増加傾向にありましたが、景気回復の遅れなどから中古戸建需要は弱さが残り、安価な物件を求める動きが続きました。

平成26年度は成約・新規登録価格ともに前年比で下落しましたが、同年の中古マンション成約価格は上昇しており、中古戸建住宅では消費増税の影響をより強く受けた可能性が指摘されます。ただ、平成27年度に入ると成約価格は下落が続くものの、成約件数は増加基調にあり変化の兆しもみられます。

前回取り上げた取引件数でも指摘したように、中古マンション市場に比べると中古戸建需要は力強さに欠ける面がみられます。収益物件となることが少なく実需が中心の中古戸建では、雇用情勢や所得環境の影響を受けやすいようです。物件の個別性も強く、住宅性能の評価が難しい点から物件の流動性は低くなりがちです。一方、近年では瑕疵保険制度や建物の検査(インスペクション)、リフォーム・リノベーションなど、中古戸建住宅の質の向上を促すサービスも充実してきました。見た目だけにとらわれず、こうした新たなサービスを積極的に利用し、賢く物件を選びたいものです。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照



ページトップ