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既存住宅市場の現状-(6)中古戸建住宅取引件数

前回までは中古マンション市場の動きについて紹介しましたが、今回からは中古戸建市場を取り上げたいと思います。ここでは、まず首都圏と近畿圏における中古戸建の取引件数の動きを紹介します。

首都圏の中古戸建住宅成約件数・新規登録件数

前回まで紹介したように、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)と近畿圏(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)の中古マンション市場は様々な外部環境の影響を受けながらも着実に拡大してきました。では、もう一つの主力市場である中古戸建市場はどのような推移を辿ってきたのでしょうか。両都市圏の取引件数の動きからみることにしましょう。

東日本不動産流通機構※1が公表している首都圏の中古戸建住宅の成約件数をみると、平成26年度は11,125件で平成12年度(11,874件)に比べて6.3%減少しています(図表1)。一方、新規登録件数は平成26年度が65,335件で、平成12年度(49,924件)に比べて30.9%増加しました。なお、ここでいう成約件数は上記の機構に報告された実際の取引件数で、新規登録件数は販売目的で機構に登録された売り出し物件の数です。

図表1 首都圏中古戸建住宅の成約・新規登録件数の推移

図表1 首都圏中古戸建住宅の成約・新規登録件数の推移

資料:(公財)東日本不動産流通機構のデータをもとに作成
注)首都圏:東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県

過去15年を振り返ると、他の住宅市場と同様に景気変動や震災などの影響を受けましたが、首都圏の成約件数はこの間ほぼ横ばいと、増加基調にあった中古マンションとは異なる動きとなっています。成約件数が最も少なかったのは平成20年度(9,450件)ですが、この年の新規登録件数は68,639件と逆に最も多く、物件の余剰傾向が顕著でした。これは、前年までのミニバブルによって物件価格が上昇し、売り意欲が旺盛であった一方、需要は減退していたためとみられます。

しかし、リーマンショックの影響が広がった翌年には景気後退によって物件価格が下落し、売り控えが顕著となりました。平成21年度の新規登録件数は前年比で16.1%減少しましたが、値頃感が台頭したことで成約件数は前年比14.7%の大幅増となりました。

その後は市場も落ち着き、東日本大震災発生後の平成23年度は成約件数・新規登録件数とも前年比プラスで推移し、震災の影響は首都圏全体でみると比較的軽微でした。過去15年間で成約件数が最も多かったのは平成25年度(12,123件)です。この年は、リーマンショックや震災後の物件価格の下落で値頃感が醸成されたことに加え、消費税が8%に増税される(平成26年4月)前の駆け込み需要が顕在化したことがこうした増加につながりました。

増税後の平成26年度に入ると成約件数は大きく落ち込み、前年比で8.2%減となりました。以前も紹介したように、個人間で取引される中古物件の建物価格に対する消費税は非課税ですが、消費者に対してこの点があまり周知されておらず、中古戸建市場でも課税対象の新築住宅と同様に駆け込み需要の反動が出ました。

近畿圏の中古戸建住宅成約件数・新規登録件数

近畿圏の成約件数は過去15年間、比較的堅調に推移しています。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の中古マンション成約件数によると、平成26年度は10,937件で平成12年度(7,576件)に比べて44.4%増加しました(図表2)。一方、平成26年度の新規登録件数は52,471件で、平成12年度(48,708件)比で7.7%増にとどまっています。

図表2 近畿圏中古戸建住宅の成約・新規登録件数の推移

図表2 近畿圏中古戸建住宅の成約・新規登録件数の推移

資料:(公社)近畿圏不動産流通機構のデータをもとに作成
注)近畿圏:大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山の2府4県

首都圏に比べると成約物件の増加が目立ちますが、大きな違いはリーマンショック後の伸びにあります。首都圏は平成22年度にマイナスとなり東日本大震災後の平成23年度も低い伸びにとどまりましたが、近畿圏は平成21~25年度まで着実な増加が続きました。これは、首都圏に比べて景気後退の影響が強く、物件価格の下落が大きかったことが逆に割安感を生み、安価な物件を中心に取引が伸びたことが理由として挙げられます。

このように、流通機構(レインズ)を通した中古戸建の取引件数をみると、前回までに紹介した中古マンション市場とは違った側面がうかがえます。中古戸建市場は全体的に弱含みの傾向が強く、特にマンションストックが豊富な首都圏市場では中古戸建住宅の選好性が低いようです。景気動向等によって取引件数は変化しますが、物件の種類によっても需給の状況は変わります。需要の弱さは競合の少なさ(選択肢の多さ)にもつながるため、住宅取得にあたっては希望するエリアや時期ごとの需給状況も見据えた上で、各自のライフスタイルに合わせた適切な物件選択を心がけたいものです。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照



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