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既存住宅市場の現状-(3)中古マンション取引価格

前回は、2大都市圏の中古マンション取引件数について取り上げました。今回も、首都圏・近畿圏における中古マンション価格の動きについて紹介したいと思います。

首都圏の中古マンション成約価格・新規登録価格

前回紹介したように、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)と近畿圏(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)の中古マンション流通量は、景気変動や震災などの影響を受けつつも、概ね増加基調で推移してきました。ここでは、取引ボリュームとともに市場の需給状況を示す価格の動きについてみることにします。

東日本不動産流通機構※1が公表している首都圏の中古マンションの成約価格をみると、平成26年度は2,789万円で20年前の平成7年度(2,578万円)を8%程度上回る水準まで回復しています(図表1)。一方、新規登録価格は平成26年度が2,694万円で、平成7年度(3,114万円)に比べると依然として約13%低い水準にとどまります。ちなみに、成約価格は上記の機構に報告された実際の取引物件の平均価格で、新規登録価格は販売目的で機構に登録された売り出し物件の平均価格を指します。

図表1 首都圏中古マンションの成約・新規登録価格の推移

首都圏中古マンションの成約・新規登録価格の推移

資料:(公財)東日本不動産流通機構のデータをもとに作成
注)首都圏:東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県

過去20年間を振り返ると、取引件数と同様に様々な外部要因の影響を受けてきたことがわかります。阪神淡路大震災発生後の平成7年度は首都圏でも成約価格、新規登録価格とも前年比で大幅に下落しました。東日本大震災発生後の平成23年度も成約・新規登録価格が前年比でマイナスに転じましたが、マンション被害が比較的軽微であったことなどから価格の下落は一時的でした。

過去20年間で価格が最も上昇したのは平成19年度で、成約価格は前年比プラス10.9%、新規登録価格も同24.9%と2ケタ上昇を示しました。この年までの数年間は、東京を中心に不動産需要が高まりミニバブルの様相を呈していました。しかし、翌年にはリーマンショックが発生。平成21年には成約・新規登録価格はともに下落に転じました。

平成25年に入ると成約・新規登録価格は再び上昇し始めます。アベノミクスによる大規模な金融緩和で不動産需要が拡大するなか、居住用を中心とする中古マンションの成約・新規登録価格は上昇が続いています。前回も触れたとおり、平成26年度は消費増税などの影響により成約件数は大幅に減少しましたが、成約価格は都心・郊外の区別なく上昇しています。これは、購買力の高い富裕層やアッパーミドル層が比較的高額な物件を購入する一方、従来の中古住宅購入層に適した値頃感のある中古マンション取引は減少していることが背景にあるとみられます。

近畿圏の中古マンション成約価格・新規登録価格

近畿圏は、首都圏に比べて中古マンション価格の回復が遅れています。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の成約価格をみると、平成7年度は2,425万円でしたが平成26年度は1,841万円と20年前の4分の3の水準にとどまります。平成26年度の新規登録価格も1,888万円と、平成7年度(2,821万円)に比べて3分の2の水準で推移しています(図表2)

図表2 近畿圏中古マンションの成約・新規登録価格の推移

近畿圏中古マンションの成約・新規登録価格の推移

資料:(公社)近畿圏不動産流通機構のデータをもとに作成
注)近畿圏:大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山の2府4県

近畿圏では、阪神淡路大震災で価格が大幅に下落した平成7年度以降も、成約・新規登録価格の下落は長引き、前年比でプラスとなったのは首都圏より3年遅れた平成17年度でした。成約件数は着実に増加していましたが、景気回復の遅れなどから首都圏に比べて住宅需要の弱さが残り、安価な物件を求める動きが続きました。

平成18~19年度になるとミニバブルの影響が波及し高い伸びをみせましたが、その後は一進一退で推移。大幅な金融緩和が始まった平成25年度以降、成約価格は再び上昇していますが、平成26年度の新規登録価格はほぼ横ばいとなり、首都圏のように取引価格の上昇を見越した強気の価格設定は広がっていません。

このように、価格の動きからも市場の大きなトレンドが捉えられます。前回取り上げた取引件数と合わせてみることで、売り時や買い時を探るバロメーターにもなります。実際の売却や住まい探しでは、個々の物件属性や周辺環境に目が向きがちですが、売買のタイミングを計る上では日頃からこうしたデータをウオッチし、市場の流れにも関心を寄せておくと良いでしょう。

※1 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ):北海道、東北6県、関東7都県、甲信越3県の1都1道15県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。
※2 公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ):近畿2府4県を対象に、事業者間で不動産流通物件の情報交換を行うために、国土交通大臣が指定した唯一の公益法人。

 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照



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