トップ不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと8.購入の最終判断をする:8-2 重要事項説明のチェックポイント

不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと

8.購入の最終判断をする

8-2 重要事項説明のチェックポイント 重要事項説明の流れ(4)~(6)

契約前には、必ず行われるのが「重要事項説明」。
購入予定の物件や取引条件に関する重要事項が説明されます。
購入するかどうかの最終的な判断をするためには、その内容を理解することが大切です。

国土交通省が推奨する重要事項説明書リンクサイト
(4)道路その他のインフラに関する事項
確認のポイント
道路などの各種インフラは、購入後の物件の利用に大きく影響しますが、すべての物件で当然に利用できるものではありません。(1)各種インフラの利用に何らかの制限はないのか、(2)利用に当たって特別な費用負担はないのかなどを十分に確認することが大切です。
F 私道に関する負担に関する事項

購入予定物件が私道に接している場合は、物件に私道部分が含まれるかどうか、含まれる場合はその面積や位置などを説明してもらいます。私道は、関係者が単独で所有している場合、関係者で分割して所有している場合、関係者で共有している場合など、権利関係が複雑です。そのため、発生する負担も、維持管理のための負担金が必要な場合、道路の掘削等に所有者の承諾が必要な場合、通行料の負担が必要な場合など、物件により様々なので注意が必要です。

G 飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の設備状況

飲用水などのインフラの整備状況について説明されます。これらのインフラは生活に不可欠なものですので、その整備状況はしっかりと確認します。また、整備されている場合でも、何らかの特別な負担金等が発生する場合もありますので、あわせて確認します。なお、飲用水などの設備が未整備の場合は、整備の見込みについて説明を受けます。購入後に整備される場合にも、特別の負担が必要となることがありますので注意が必要です。

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(5)その他物件に関する事項
確認のポイント
不動産には様々な制限や留意すべき事項があります。ここに記載した項目に該当するものがある場合には、(1)その内容、(2)物件の利用に関する制限の有無、(3)費用負担の有無、(4)その他の影響などを個別に確認します。
H 完成時の形状・構造(未完成物件の場合)

新築分譲物件で建物が未完成の物件は、契約時に実際の建物を見ることができません。そのため、重要事項説明では、完成時の建物の概要が説明されます。なお、完成後のトラブルを避けるためには、完成後の細かい仕様など、できるだけ具体的な資料を用いて説明を受けることが望ましいでしょう。

I 建物状況調査の結果の概要(既存の建物のとき)

購入予定の物件が既存(中古)住宅の場合、建物状況調査(国土交通大臣の定める講習を修了した建築士が一定の基準に従って実施するもの)を過去1年以内に実施しているかどうか記載されます。また、実施している場合には、建物状況調査の結果の概要が説明されます。

J 建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(既存の建物のとき)

購入予定の物件が既存(中古)住宅の場合、買主が判断するのに重要な影響を与えると考えられる「建物の建築及び維持保全の状況に関する書類」については、それらの保存状況が説明されます。説明されるのは、一定の書類の有無についてで、その内容についてまで説明されるものではありません。

K 造成宅地防災区域内か否か

造成宅地防災区域は、宅地造成に伴う災害で大きな被害が発生するおそれがあるとして指定される区域です。この区域内の宅地の所有者等は、災害を防ぐための擁壁の設置や改造などに努めなくてはいけません。また、災害を防ぐための措置が不完全な場合、所有者等は、擁壁の整備等に関して、都道府県知事から勧告や命令を受けることがあります。

L 災害に関する警戒区域内か否か

土砂災害警戒区域と津波災害警戒区域について、該当するかどうかが説明されます。土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊等の災害で大きな被害が発生するおそれがある地域について、一方、津波災害警戒区域は、津波が発生した場合に住民等の生命・身体に危害が生ずるおそれがある地域について、市町村が警戒避難体制を整備すべき 区域として指定するものです。物件がこれらの警戒区域内にある場合は、宅地の開発や建物の建築などに制限がありますので、購入予定物件が該当する場合は十分に確認しましょう。

M 水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地

市町村などが「水害ハザードマップ」を作成しているかどうかが説明されます。作成されている場合は、市町村などが配布あるいはホームページで公開している最新の水害ハザードマップに基づいて、物件のある位置が示されます。なお、物件の位置が浸水想定区域内にはないからといって、水害リスクがないということにはなりません。

N 石綿(アスベスト)使用調査の有無とその内容

購入しようとする建物について、売主などが行った石綿使用調査結果の記録の有無が説明されます。かつては、保温断熱の目的で、石綿の吹き付け工事が行われていましたが、吹き付けられた石綿は、空中に飛散し人が吸入してしまう可能性があることから、1975年に原則として禁止となりました。そのため、特に1975年以前の建物に関して、調査結果の記録がある場合には、その内容を十分に確認しましょう。

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O 耐震診断の内容

建物の耐震基準は、昭和56年の法改正によって強化されました。したがって、それ以前に建築確認を受けた建物は、強化される前の「旧耐震基準」に基づいて建築されたことになります。旧耐震基準に基づき建築された建物で、一定の耐震診断を受けている場合には、その診断結果の内容が説明されますので、耐震診断の有無と結果について十分に確認しましょう。

P 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

購入予定物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能評価を受けている新築住宅である場合は、その旨の説明があります。住宅性能評価は、住宅の品質や性能について客観的な評価が行われ、その結果が住宅性能評価書として交付されるものです。住宅性能評価は法律に基づいた制度ですので、購入予定物件の品質等に関する判断材料の一つとなります。

(6)マンションなど区分所有建物に関する事項
確認のポイント
区分所有建物は、マンションの住戸のように区分所有者の所有権の対象となる「専有部分」、共同の玄関・廊下・エレベーターなど区分所有者全員または一部の共有となる「共用部分」に分かれるなど、一戸建てと違って権利関係が複雑です。また、駐車場やトランクルームなどについて、特定の区分所有者にのみ使用を認める「専用使用権」がある場合もあります。区分所有建物は、多数の権利者と共同で物件を管理していく必要があり、管理規約等によって様々なルールが定められていることが多くなっています。したがって、(1)どのような権利関係にあるのか、(2)建物の利用、管理、修繕などに関してどのようなルールがあるのかなどをしっかりと確認しましょう。
ア 敷地に関する権利の種類及び内容

区分所有建物の敷地面積や権利の種類について説明されます。建物の敷地をしっかりと確認するとともに、敷地全体に所有権があるかどうかを確認しましょう。借地権部分がある場合などは、地代などの負担が発生することがあります。

イ 共用部分に関する規約の定め

共用部分については、管理方法、管理者の選任方法と権限などについて管理規約等で定められていることが一般的です。共用部分は区分所有者の共有となりますので、管理規約等の定めをしっかりと理解した上で入居することが大切です。

ウ 専有部分の用途その他利用の制限に関する規約の定め

専有部分であっても、事務所としての利用、ペット飼育、リフォームなどを禁じるなど、管理規約等で利用方法等を制限している場合があります。単独で所有する専有部分についても、利用の制限がある場合には、しっかりと理解した上で入居することが大切です。

エ 専用使用権に関する規約の定め

専用庭、ルーフバルコニー、駐車場、トランクルームなど、区分所有建物の敷地、共用部分、付属施設等に関して、特定の区分所有者にのみ使用を認める専用使用権が規約等で定められている場合があります。共用部分が当然に使用できない場合もありますので注意が必要です。

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オ 修繕積立金や管理費に関する規約の定めなど

区分所有建物は、区分所有者が共同して建物の修繕や管理を行う必要があります。通常は、計画的な修繕や日常の管理に必要な費用について規約で定められています。購入後には必ず負担する費用ですので、事前に確認しましょう。また、中古マンションの場合、計画的修繕のために積み立てられている金額や既に実施された修繕の内容についても説明を受けます。築年の古いマンションで積立額が少ない場合には、必要な修繕が行えない可能性もありますので注意しましょう。また、売主が積立金や管理費等を滞納している場合は、その精算を求められることがあるので確認しておきましょう。

カ 管理の委託先に関する事項

一般的に、区分所有建物の管理は管理会社に委託されています。委託されている場合は、管理会社の概要について説明を受けます。適切にマンションを管理していくためには、管理会社への委託内容とその実施状況が大きなポイントとなります。

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