トップ>不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと>10.不動産の引き渡しを受ける:10-3 入居後の物件の欠陥をめぐるトラブル対応
住まいを購入した後に、物件の欠陥をめぐるトラブルが発生することがあります。
このようなトラブルにしっかりと対応するためには、売買契約の内容をよく理解しておくとともに、関連する法制度、保険、アフターサービス、保証制度などの内容を知っておくことが重要です。

住まいを購入した後に、引き渡し時には知らされていなかった「雨漏り」や「建物本体の白アリ被害」のような欠陥など(法的には「隠れた瑕疵(かし)」といいます)が発覚した場合、まずは売買契約に基づいて、売り主へ物件の修補や損害の賠償を求めることになります。また、欠陥などが重大で、住むこともままならない場合などは契約の解除を求めることも可能です。(このように物件に隠れた瑕疵があった場合の売り主の責任を「瑕疵担保責任」といいます。)
ただし、不動産売買では、売り主が瑕疵担保責任を負う期間を限定することが一般的です。この期間は、契約書に必ず記載されていますので、まずは契約内容を確認しておきましょう。欠陥などが発覚したときに、売り主の責任期間を超えている場合、原則として、損害賠償や契約の解除などを求めることはできません※。なお、売り主が宅地建物取引業者である場合は、買い主に対して、少なくとも引き渡しの日から2年間は瑕疵担保責任を負うことになっています。
※売り主が「故意」に瑕疵を告げなかった場合などは、瑕疵担保責任の期間を超えていても損害賠償などを求めることができます。また、売り主が事業者で買い主が個人の売買契約において、瑕疵担保責任の期間が極端に短い場合などは、そもそも個人にとって不利益な契約であるとして、損害賠償などを求めることが可能な場合もあります。
→ 瑕疵担保責任については、「9-1売買契約の基礎知識」を参照
新築住宅の場合で、宅地建物取引業者である不動産会社が売り主の場合は、以下のような法律で買い主を保護しています。売り主が倒産していたり、売り主に損害金を支払う資力がない場合でも、保険金や保証金の還付により必要な費用が支払われます。
中古住宅の場合は、新築住宅のような制度はありませんので、売り主の瑕疵担保責任については、契約に基づく対応がベースとなります。宅地建物取引業者である不動産会社が売り主の場合は、少なくとも2年間は瑕疵担保責任を負いますが、不動産会社が倒産などをした場合、修補等を求めることができない可能性が高くなります。また、売り主が個人の場合は、瑕疵担保責任を負う期間を短くする契約が多く見受けられます。
したがって、中古物件の場合は、契約前に物件を十分に確認して、欠陥をあらかじめ把握することが重要です。このため、最近は、買い主が任意で有料のホームインスペクション(住宅診断)を依頼して(「5-5現地見学時のチェックポイント」ホームインスペクション参照)、建物の状況を事前に確認するケースが増えています。

新築住宅では、瑕疵担保責任とは別に、売り主が一定の不具合を無償で補修するアフターサービスを任意で実施している場合があります。アフターサービスの対象となる不具合の種類やサービスの期間などについては、会社ごとに基準が設けられています。
たとえば、基本構造部分にかかわる雨漏りや漏水、構造強度に影響する亀裂や破損などは品確法と同じ10年、壁の破損や設備の作動不良などは2~5年の期間を設けることが多いようです。最近では、アフターサービス期間が10年を超える新築住宅もありますので、アフターサービス制度の有無やその内容について、しっかりと確認しておきましょう。
アフターサービスの基準の例(社団法人不動産協会)

瑕疵担保責任は法律で定められた責任であり、アフターサービスはあくまでも消費者サービスの一環として、不動産会社などが自主的に実施しているものです。いずれも消費者保護を目的としている点では共通していますが、責任の対象や期間などが違っている点に注意が必要です。
瑕疵担保責任の対象になるのは、「取引時における物件の隠れた瑕疵」に限られ、一般的に、売り主が責任を負う期間は契約で定められています。また、品確法では新築住宅について、構造耐力上主要な部分などに瑕疵があった場合、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を定めています。
これらに対して、アフターサービスの対象は「契約で定める一定の欠陥」であり、隠れた瑕疵に限りません。また、品確法の構造耐力上主要な部分などに限らず、建具や設備なども対象になっていることもあります。アフターサービスの対象と期間はそれぞれの契約によって定められますので、その内容をしっかりと把握しておきましょう。

住宅瑕疵担保責任保険とは、新築住宅の売り主である不動産会社などが、住宅瑕疵担保責任保険法人との間で保険契約を締結することで、その住宅に瑕疵が判明した場合に、その補修費用などを保険金によりてん補する制度です。売り主が倒産していて補修が行えない場合などは、買い主が直接、住宅瑕疵担保責任保険法人に瑕疵の補修等にかかる費用(保険金)を請求することができます。

中古住宅の場合に利用できる瑕疵担保責任保険として「既存住宅売買瑕疵保険」があります。この保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度で、住宅の基本的な性能について、専門の建築士による検査に合格することが条件です。売り主である不動産会社または個人が、この保険に加入している場合は、売買された中古住宅に欠陥が見つかった場合でも、補修費用などの保険金が不動産会社や検査機関などの事業者(事業者が倒産等の場合は買い主)に支払われます。
※ 住宅瑕疵担保責任保険については「住まいのあんしん総合支援サイト」を参照

住まいを、常に快適に生活できる状態に維持し、できるだけ長持ちさせるためには、維持管理が大切です。日常の手入れに始まり、点検・補修、そして記録の保存が欠かせません。それが住まいの資産価値の維持にもつながります。
念願のマイホームを手に入れても、入居後の維持管理が適切でなければ、住宅の部品や設備、建物は長持ちしません。日頃から不具合や傷みがないか点検し、早めに補修などの対応をしましょう。一般的に新築物件の場合、不動産会社などによる定期点検も行われますが、自分たちでも定期的な点検を心がけましょう。建築後の経過年数の長い中古物件はなおさら重要になってきます。
また、住まいの維持管理については、住宅金融支援機構の「維持管理ガイドライン」が参考になります。
適切な維持管理を行うためには、住宅がどのように設計、施工されたのか、引き渡し後にどのような修繕、リフォームなどが実施されたかという情報、いわゆる「住宅履歴情報(いえかるて)」を保存することが大切になります。点検結果や修繕工事の図面などが保管されていれば、その後の点検や修繕工事を実施する際の重要な資料となるからです。
また、そうした点検・補修の記録は一括して整理しましょう。住宅の維持管理に不可欠であるだけではなく、しっかりと維持管理してきたことを証明する材料になりますから、将来売却することになったときには、良好な維持管理状態を示す資料になるでしょう。
保存する情報としては、新築時の住宅の各種図面や仕様書、設備や工事の資料、認定書類等、また、引き渡し後に実施した維持保全(点検・補修)の記録など様々な内容になります。新築時の施工会社や不動産会社、リフォーム事業者やマンション管理会社などに情報を提供してもらい、蓄積するようにしましょう。住宅履歴情報の蓄積や活用を支援する、情報サービス機関を利用する方法もあります。