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VOL.49「リバースモーゲージ」シニア世代が自宅を担保に資金を借り入れ 執筆:住宅ライター/大森広司

2019年04月17日

民間のリバースモーゲージとリ・バース60の特徴

リバースモーゲージの主な特徴(筆者作成)

資金使途が住宅資金に限られるリ・バース60

フラット35を扱う住宅金融支援機構も、「リ・バース60」という名称でリバースモーゲージを商品化している。取扱窓口となるのはフラット35と同様に民間の金融機関で、2018年12月時点の取扱金融機関数は49機関となっている。


リ・バース60の特徴は資金使途が住宅購入やリフォーム、借り換えなど住宅資金に限定されていることだ。民間では一般的な使途となる生活資金は、リ・バース60では対象外となる。また名称が示すとおり60歳以上が対象だが、融資額が少なくなるものの50代でも利用は可能だ。


利用者が死亡すると、相続人が物件を売却するなどして一括返済する。その際、物件が値下がりしていて売却しても債務が残る場合は、残債務を相続人が返済しなければならない「リコース型」と、相続人に残債務の返済義務がない「ノンリコース型」があり、金融機関により取り扱いが異なる。


自宅の値下がりリスクや金利上昇リスクなどに注意

リバースモーゲージを利用する際には、いくつか注意すべき点がある。まず自宅の値下がりリスクだ。前述のように利用者の死亡時に物件を売却しても融資額を完済できない場合、残債務を相続人が肩代わりしなければならないリスクがある。また利用中に担保評価額が下がって融資額を下回ると、オーバーした分の一括返済を求められるケースもあるのだ。利用者側でも借りすぎに注意したり、ノンリコース型の商品を選ぶといった対策が必要だろう。


また金利は変動型が一般的なので、利用中に金利が上昇するリスクもある。利息を月々返済するタイプはもちろん、返済のないタイプでも利息分は融資額に加算されるので注意が必要だ。


利用者が死亡した場合、配偶者が自宅に住み続けられるかどうかも確認しておくべきだろう。多くの商品では配偶者を連帯債務者とするなど一定条件を満たすことで、利用者の死亡後も配偶者が契約を引き継げることになっている。


さらにリコース型の場合は相続人がリバースモーゲージの利用に反対するリスクもある。金融機関によってはすべての推定相続人に同意書の提出を求めるケースもあるので、利用する場合は親族とも話し合っておくことが大切だろう。


このようにリバースモーゲージは注意点も少なくないが、人生100年時代を迎えるこれからは、シニア世代の資金調達手段として重要性を増すことは間違いなさそうだ。




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