トップ>話題の不動産キーワード>VOL.43 建物状況調査(インスペクション):あっせんや説明が義務付けられたインスペクション
※記載内容は、情報公開時点の法令並びに執筆者による情報に基づいています。
2018年04月18日
国土交通省が作成した「建物状況調査制度概要リーフレット」。売主用と購入検討者用の2種類があり、国土交通省のホームページからダウンロードできる(出典:国土交通省)
売買の対象となる住宅でインスペクションが実施されたからといって、宅地建物取引業法に規定された「建物状況調査」に該当するとは限らない。「建物状況調査」には、一定の条件が付いているからだ。
まず、「建物状況調査」とは、既存(中古)住宅の基礎、外壁等の部位ごとに生じているひび割れ、雨漏りなどの劣化・不具合の有無を目視、計測等により調査するものとして、既存住宅状況調査方法基準を定めており、既存住宅状況調査技術者(国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士)が行うものに限定している。
加えて、重要事項説明などの対象となる「建物状況調査」は、調査を実施してから1年以内のものとされている。
「建物状況調査」が行われるメリットは、専門家の調査によってその時点の建物の状況が把握できることで、適正に購入の判断をしたり、購入後のリフォームの有無を見込めたりできることにある。
ただし、注意点もある。目視・非破壊による調査なので、住宅に点検口がなかったり、居住中のために移動が難しい家具があったりして、目視できない部分が生じる可能性もある。(その場合は報告書に「調査できなかった」と記載される)。また、床や壁をはがす破壊による調査ではないので、構造部分の調査に限界もある。さらに、調査対象に給排水管路や給排水設備などは含まれない。(そこまで状況を知りたい場合は、オプション調査として上乗せで調査をする必要がある。)
「建物状況調査」は、このように万能ではないが、築年が古くても建物の状態がよいことを説明できたり、リフォーム費用を見込んだ金額を判断する材料となったりするので、既存(中古)住宅の売買が活性化することが期待できる。
もちろん、既存(中古)住宅の売買で必ず「建物状況調査」を行わなければならないわけではないし、不動産会社からあっせんされたからといって必ず依頼しなければならないわけではない。しかし、物件によっては売買が円滑に行われる場合もあるので、仲介する不動産会社などによく相談するとよいだろう。
→ インスペクションについては、当サイトの「不動産便利ツール:建物検査(インスペクション)」を参照
【関連サイト】 ○「建物状況調査制度概要リーフレット」をダウンロードするできる国土交通省のサイト http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000132.html
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