トップ>話題の不動産キーワード>VOL.23 平成25年省エネルギー基準:省エネルギー基準の改正を繰り返し、住宅の省エネ化を強化
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2014年12月17日
住宅・建築物の省エネ化は、産業や運輸部門に比べてこの20年でのエネルギー消費量の増加が著しいため、省エネ対策の強化が求められている。この部門の省エネ化の指標となるのが「省エネルギー基準」だ。「平成25年省エネルギー基準」と呼ばれる最新の基準ができ、平成27年4月には完全施行される。
設備の一次エネルギー消費量も合わせて指標に
平成23年度の省エネルギー基準適合の新築住宅は5~6割
住まいは断熱することで、熱のロスが少ない家になる。省エネルギー基準はその断熱を行う際の指標として、これまで何度か改正されてきた。 住宅の省エネルギー基準ができたのは昭和55年。その後、平成4年と平成11年に改正。平成11年の基準を昭和55年の基準と比べると、年間冷暖房エネルギーの消費量が約35%削減できるレベルだ。昭和55年以前の基準がなかった時代の家と比べると、同消費量はおよそ半分になる。それぐらい省エネルギー基準は強化されてきた。 ただし、この基準は残念ながら家を建てるときに義務づけられているわけではない。平成23年度の国土交通省による推計では、5~6割程度の新築住宅が省エネ基準に適合しているにすぎない。これも「住宅エコポイント」の後押しがあってのことで、平成20年度の時点では1~2割が適合、と極めて少なかった。
平成25年省エネルギー基準の改正で何が変わる?
さて、従来の省エネルギー基準が、イコールほぼ断熱基準であったのに対し、平成25年の改正では、断熱性能については平成11年基準と同等水準を維持しながら、冷暖房、換気、照明、給湯などの設備による一次エネルギー消費量も合わせて指標とされることになった。 一次エネルギーとは電気やガスではなく、その元になる化石燃料などのことをいう。住まいで消費されるエネルギーを熱量換算し、客観的な数値で評価して見える化し、エネルギー効率のよい家を増やしていこうというのが、新しい基準の狙いだ。 といってもエアコンやLED照明など現在の機器は省エネ化が進んでいるので、特別なものを導入する必要はなさそう。太陽光発電や家庭用燃料電池などの創エネルギー機器を導入した場合は、そこから得られるエネルギーはエネルギー消費量から差し引かれる。 こうして省エネルギー基準が、従来は単に冷暖房エネルギーの削減を目的としていたのに対して、できてから33年目にしてようやく、住まいのエネルギー消費量全体をトータルにとらえて評価するものになったといえる。
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