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VOL.18「脱法シェアハウス」安全基準を満たさない違法・脱法のシェアハウス 執筆:住宅ジャーナリスト/山本久美子

2014年2月19日

居室に該当する事例(国土交通省の「違法貸しルーム対策に関する通知について」より転載)

居室に該当する事例(国土交通省の「違法貸しルーム対策に関する通知について」より転載)

注目を集めている「シェアハウス」だが、最近では脱法シェアハウス、違法貸しルームなどと呼ばれる、防火上の安全基準を満たさない賃貸住宅が社会問題になっている。どんな問題があるのか、どんな規制強化に乗り出したのか詳しく紹介しよう。


住宅困難者の需要を掘り起こした
脱法・違法なシェアハウス

脱法シェアハウス、違法貸しルームとは?

「シェアハウス」とは、一つの住宅を複数人でシェアして暮らす賃貸住宅。手軽に賃貸暮らしが始められること、入居者同士で新しいコミュニティが生まれることなども評価され、急速に増加している。
 詳細は、当サイトのVOL.8 シェアハウス「着実に増加している事業者介在型のシェアハウス」 参照)

その一方で、脱法シェアハウスや違法貸しルームといった安全上の基準を満たさない賃貸住宅の存在が明らかになり、社会問題化した。

発端は、インターネットカフェ業者が運営する脱法シェアハウスの報道だろう。レンタルオフィスと届けながらも多人数に賃貸し、居住実態があったことから、住宅に必要な火災報知器などが設置されていないなどの理由で、東京消防庁から消防法違反に基づく警告を受けた。それ以降、オフィスや倉庫として届けが出ているものの、1~2畳といった小さなスペースを居住用として貸し出しているシェアハウスが、数多く供給されている実態が浮き彫りになった。

問題となるのは、居住スペースの安全性だ。住宅については、個室に採光や換気のための窓を設けることなどの建築基準法上の規制があるほか、火災報知機の設置など消防法上の制限もある。さらに共同住宅については、遮音性能や避難経路の確保などの多くの規制が加わる。

こうした規制を守らない脱法や違法のシェアハウスでは、室内を簡易な造作で小さく区切ったり、寝る空間だけのボックスを設置したりして、多人数を収容できるようにしている。日当たり、換気や個人のプライバシーが守られないといったことのほか、火災や地震が発生した場合の安全性に大きな問題がある。

脱法・違法が増加する理由は?

脱法や違法のシェアハウスが増加している背景には、低所得で雇用が不安定な単身者が増加し、住宅困難者となっていることが挙げられる。初期費用や保証人が不要、家賃が2~3万円などの格安というニーズにマッチして、住宅困難者の受け皿となっているからだ。

しかし、脱法や違法のシェアハウスを運営する事業者は、救済目的でやっているわけではない。広いスペースをオフィスや倉庫、あるいは住宅として貸し出す場合に比べると、1㎡当たりの収益性が高くなる点に目を付けているのだ。収益性だけを重視すれば、居住者の安全はなおざりにされることになる。



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