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VOL.16「フリーレント」賃料無料期間付きのフリーレントのメリット・デメリット 執筆:住宅新報論説主幹/本多信博

2013年10月16日

フリーレントをうたった不動産広告の例

    フリーレントをうたった不動産広告の例

フリーレントは本当にお得な制度か?

諸費用も下がる可能性が

フリーレントが入居者にとって魅力的な理由がもう一つある。それは1ヶ月の賃料を基準に決められている仲介手数料、敷金、礼金、更新料も同時に下がる可能性があるからだ。例えば、賃料10万円で1ヶ月がフリーレントになったとすると、賃貸借契約期間が2年間であれば、1ヶ月当たり賃料は約9万6000円となる(10万円×23ヶ月÷24ヶ月=9万5833円)。
基準となる賃料が約4000円安くなっているので、敷金3ヶ月、礼金1ヶ月だったとすると、仲介手数料を含めた当初一時金(5ヶ月分)は4000円×5で2万円減額される。

ただし、すべてのフリーレント物件がこうした計算をしてくれるわけではない。フリーレント期間が何ヶ月でも、賃料はベースの10万円としている物件もあるので、仲介会社に確認してみればいいだろう。

フリーレントは真にお得か?

フリーレント物件は、貸主側から見ると、賃料を下げずに入居者を確保することができる手段。ということは、借主側から見ると、本来の相場としては賃料をもっと下げるべき物件という見方もできる。
そこで重要なのが、前述の実質賃料の算出である。前述の例でいえば、10万円が9万6000円に下がったのと同じであるから、その金額が本来の家賃相場に照らしてどうかという検討も必要だろう。ただ、9万6000円という賃料は、2年間で退去した場合の計算であるから、3年、4年と長く住めば住むほど、1ヶ月当たりの賃料はベースの10万円に近付いていく。つまり、フリーレントは短期間しか住まない人にとっては有利だが、長期間住む予定の人にとっては、最初から低い賃料の物件を選んだ方が得ということも考えられる。

市場の透明化を

賃貸住宅市場は素人である借り手側から見ると、不透明な要素もある。空室が多い「借り手市場」なのに、なぜ礼金が必要なのか。仲介手数料半額をアピールする仲介会社もあるが、サービス内容は低下しないのか。更新料は何のために払うのかなど、フリーレントのように隠れた意味があるのではないかと考えてしまう場合もある。
業界としては、地域による商慣習の違いはあるにしても、今後より一層、消費者に分かりやすい市場に改善していく努力も求められる。 



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