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VOL.12「防災マンション」立地、建物、設備、備蓄、意識各レベルでチェック 執筆:住宅ジャーナリスト/山下和之

2013年3月19日

東日本大震災後、消費者の防災に関する意識が高まり、新規に供給されるマンションの防災対策も急速に進化している。物件のホームページ、パンフレット、折り込みチラシなどでも「防災マンション」といった言葉をよく見かけるようになった。いったいどんな防災対策が取られているのだろうか。


住宅取得時に特に重視するもの(3つまで回答可=上位8項目) (%)

出典:住宅金融支援機構「平成24年度民間住宅ローン利用者の実態調査[民間住宅ローン利用予定者編](第2回)」

多少コストアップになっても
耐震性の高い住まいを要望

東日本大震災は国民の価値観に大きな影響を与えた。住宅も例外ではない。いや、むしろ、住宅分野はその変化が最も色濃く反映された分野のひとつといってもいいだろう。

住宅金融支援機構が、住宅ローン利用予定者、つまりこれから住宅の建設・購入を考えている人に、「住宅取得時に特に重視するもの」を聞いたところ、震災前には「価格・費用」が断然のトップで、以下「間取り」、「住宅の広さ」などが続いていた。一定の予算のなかで、いかに必要な広さ、間取りを確保するかが最大の関心事だったといえよう。
それが、震災後には大きく様変わり。「価格・費用」がトップである点は変わらないものの、「間取り」や「住宅の広さ」は大きく後退し、「耐震性能」が「価格・費用」とほぼ同じレベルに達し、「立地(災害などに対する安全性)」が続いている。何より、安心・安全を求める傾向が浮き彫りになっているわけだが、その耐震性能を高めるための方策としては、「コストアップしても、耐震性能を高めたい」とする人が54.2%と過半数に達し、「コストアップしても、地盤調査・地盤改良工事を行いたい」は40.6%、「コストアップしても、免震構造の住宅にしたい」も36.8%に達している。安心・安全のためには多少高くなっても仕方ない、生命には代えられないということだろう。

そうした変化に対応して、注文住宅、建売住宅、分譲マンションなどの新築住宅の販売においても、耐震性能を初めとする安心・安全を前面に打ち出す物件が増えている。特に首都圏や近畿圏など、湾岸部での大規模マンションの開発が多いエリアを中心に、今後想定される大規模地震への備えを徹底したマンションが増加、一般に防災マンションと呼ばれるようになっている。
ただ、この防災マンションという用語、厳密な定義があるわけではなく、単に建物の耐震性が高い、防災用品を備えているといったレベルから、免震構造を採用したうえ、大規模な自家発電装置を設置し、入居後の防災イベントなどの取り組みも盛り込んだものまで千差万別。広告などにある「防災マンション」ということばに惑わされずに、その中身をシッカリと確認しておく必要がある。

もちろん、規模によってできること、できないことがある。小規模なマンションでこれらすべてを盛り込もうとすれば、1戸当たりのコストが上昇、価格も高くならざるを得ない。自分たちの希望するエリア、予算の制約のなかで、どこまでの防災対策を期待するのか、期待できるのかといったバランスを考えながら物件を選ぶのが現実的だろう。



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