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※記載内容は、情報公開時点の法令並びに執筆者による情報に基づいています。

VOL.11 認定低炭素住宅 高い省エネ性能と低炭素化措置を兼ね備えた住宅を認定する制度 執筆:不動産コンサルタント/平野雅之

2013年2月20日

<戸建住宅イメージ>

低炭素住宅の一戸建て住宅のイメージ(国土交通省の資料より転載)

近年の地球温暖化問題に対する意識の高まりや、東日本大震災後における国内のエネルギー問題などにより、住宅分野においても二酸化炭素排出量の削減や省エネルギー化が急務となっている。そんな中で「都市の低炭素化の促進に関する法律」が平成24年9月5日に公布され、同年12月4日に施行された。この法律により新たに設けられた「認定低炭素住宅」の制度についてみていくことにしよう。


認定低炭素住宅の基準は、
必須項目と選択的項目

低炭素住宅として認定を受けるための基準として、まず省エネルギー法による省エネルギー基準に比べ、一次エネルギー消費量(家電製品などのエネルギー消費量を除く)をマイナス10%以上にすることが求められる。これが必須項目である。

具体的には、一戸建て住宅の場合であれば天井断熱が180ミリ以上、外壁断熱と床断熱がそれぞれ100ミリ以上、連続する防湿気密層、窓は複層ガラス(可能なら断熱サッシ)、南窓の軒・ひさし、東西窓の日除けなどの建物構造や、常時換気システム、冷暖房エアコンなどの設備に加え、太陽光発電パネルや高効率給湯器の設置などが求められる。これらにより、省エネルギー法に基づく省エネルギー基準と同等以上の断熱性能を確保することも要件だ。

一方、選択的項目としてはHEMSの導入、木材の利用、節水対策、ヒートアイランド対策があり、これらのうち一定以上を講じていることが求められる。HEMSとは、ホームエネルギーマネジメントシステムのことであり、住宅のエネルギー消費量に関する情報を用途別に計測、表示して「見える化」させるものだ。木造住宅の建築に伴う二酸化炭素排出量は、鉄筋コンクリート造に比べて約3割程度とされ、環境負荷に対する効果が見直されている。節水対策では、節水トイレや節水水栓の設置、定置型の食器用洗浄機の設置のほか、雨水や雑排水の利用も挙げられている。ヒートアイランド対策は、敷地や屋上、壁面の緑化などにより、主に夏期における空調の効率化や負荷の削減を図るものである。

なお、認定低炭素住宅の制度は、国が2020年までに適合義務付けを目指している新しい住宅省エネ基準の準備的措置であることも知っておきたい。新しい省エネ基準を先取りすることで、将来の中古住宅市場で有利になることも考えられるだろう。



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