トップ話題の不動産キーワード>VOL.9 住宅の「瑕疵(かし)保険」:「既存住宅売買かし保険」で、中古住宅流通に安心感

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VOL.9 住宅の「瑕疵(かし)保険」安心して住宅リフォームや中古住宅売買ができる制度 執筆:不動産コンサルタント/平野雅之

2012年12月19日

「既存住宅売買かし保険」(個人間売買タイプ)の仕組み

「既存住宅売買かし保険」(個人間売買タイプ)の仕組み

「既存住宅売買かし保険」で、
中古住宅流通に安心感

既存住宅(中古住宅)の売買では、個人売り主の瑕疵担保責任期間が長くて3ヶ月程度、売り主が宅建業者の場合でも2年間に限定されることが多く、新築住宅に比べて購入者の安心感を得られないことが流通を阻害する一因となっている。そこで、引き渡しを受けた住宅に瑕疵があったときに補修費用をカバーするのが「既存住宅売買かし保険」だ。

この保険には「宅建業者販売タイプ」と「個人間売買タイプ」の2種類があり、前者は宅建業者が保険加入するのに対し、後者は保証を行う「検査機関」が保険加入することになっている。中古住宅の大半を占める個人売り主の場合には、まず売り主が検査機関に対して検査と保証を依頼し、検査機関は対象となる住宅の検査を実施したうえで、瑕疵保険に加入。それと同時に買い主に対して保証がされる。なお、買い主から検査機関に対して検査と保証を依頼することも可能である。

保険期間は住宅の引き渡しから5年間で、構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分などが対象となる。また保険金額の上限は1,000万円で、補修費用のほか、調査費用、補修工事中の転居・仮住まい費用なども支払われる。ただし、保険の対象となる住宅は新耐震基準に適合しているなど、一定の要件が前提となっているため、すべての中古住宅が保険に加入できるわけではない。

保険への加入にあたっては、保険料と現場検査手数料を求められる。住宅の床面積や構造など、さらに保険法人によっても費用は異なるが、125平方メートル以上150平方メートル未満の一戸建ての場合、合わせて8万円~10万円程度(別途保証料)が必要だ。保険加入を要件とした中古住宅の売買契約では、この費用を売り主と買い主のどちらが負担するのか明確にしておきたい。

なお、中古マンションでは従来、1戸だけの保険加入でも共用部分全体と専有部分の検査が必要とされ、費用がたいへん高額となるために保険の利用が困難だった。そこで、新築時に建設住宅性能評価を受けているなど一定の要件を満たすマンションについては、共用部分の検査を簡略化し、保険料と現場検査手数料を7万円程度に抑えた保険(住宅保証機構)が平成24年6月に認可されている。



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