空き家に関する現状と課題

 近年、空き家に関する話題が全国的にクローズアップされています。背景には人口の減少や高齢化、新築中心の市場における需給のミスマッチなどが挙げられます。しかし、ひと口に空き家といっても地域によって様々な性格があり、対処法も多岐にわたります。ここでは、空き家に関する現状と課題について紹介します。

1.空き家の現状①

増加する放置された空き家

 わが国の空き家は増加の一途をたどっています。総務省の住宅・土地統計調査によると、2013年の全国における空き家は819.6万戸で、住宅ストック全体に占める空き家率は13.5%と過去最高となりました。2008年と比較すると62.8万戸増加し、空き家率は0.4ポイント拡大しています。今や日本の住宅の7軒に1軒は空き家となっているのです(図表1)

 内訳をみると賃貸用の空き家が52.4%と最も多く、その他の空き家が38.8%を占めます。その他の空き家とは、居住者が長期不在の住宅や建替えで取り壊し予定の住宅などを指します。賃貸用や売却用の空き家は円滑な流通に必要な住宅となりますが、その他のいわゆる放置された空き家は、不動産流通市場から取り残された住宅と言えます。こうした放置空き家は近年増加が目立ち、特に木造一戸建が多いことが特徴となっています。

図表1 全国の空き家の状況

注)二次的住宅:別荘等、 その他の住宅:長期不在の住宅・建替等で取り壊し予定の住宅

空き家の内訳(2013年)

空き家の定義

二次的住宅

週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅

その他

ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅

賃貸用の住宅

新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅

売却用の住宅

新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅

その他の住宅

上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など

(注:空き家の区分の判断が困難な住宅を含む。)
空き家の現状①

空き家に関する現状と課題

1.空き家の現状②

空き家の実数は大都市圏に集中

 地域別の空き家率は四国や中国地方など西日本を中心に高く、大都市や地方中核都市を抱えるエリアは低くなる傾向にあります(図表2)。しかし、空き家の実数は大都市圏が多く、東京都だけで80.5万戸に上り、首都圏1都3県で全国の23.9%を占めます。空き家戸数が2番目に多い大阪府はすでに人口が減少し始めており、賃貸用を中心に空き家率も全国平均を上回ります。

 新築供給が現状のまま推移すると2040年には空き家率が40%を超えるとの予測もありますが、新築供給が活発で住宅ストックが圧倒的に多い大都市圏では、今後の高齢化に伴って放置された空き家の問題が急速に深刻化することが考えられます。

図表2 都道府県別の空き家状況 (2013年/二次的住宅を除く)

都道府県別の空き家率

エリア 空き家率
関東大都市圏 11.4%
中京大都市圏 12.6%
近畿大都市圏 13.9%
全国 13.5%
単位:%, ()は分布数
17.0 (8)
15.0 16.9 (10)
13.0 14.9 (15)
12.9 (14)
  • A
  • B
  • C
  • D
  • E
  • F
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  • H
  • I
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  • X
  • Y
  • Z
  • a
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  • m
  • n
  • o
  • p
  • q
  • r
  • s
  • t
  • u
資料:平成25年度住宅・土地統計調査(総務省)より作成
順位 都道府県 空き家率 空き家戸数
1 山梨県 17.2% 72,700
2 愛媛県 16.9% 119,500
3 高知県 16.8% 66,100
4 徳島県 16.6% 60,600
5 香川県 16.6% 77,900
6 鹿児島県 16.5% 142,700
7 和歌山県 16.5% 78,400
8 山口県 15.6% 110,100
9 岡山県 15.4% 136,400
10 広島県 15.3% 213,000
11 長崎県 14.9% 98,100
12 大分県 14.8% 84,500
13 三重県 14.8% 122,800
14 群馬県 14.8% 133,200
15 栃木県 14.7% 128,800
16 長野県 14.5% 142,900
17 大阪府 14.5% 665,000
18 岐阜県 14.2% 124,500
19 石川県 14.1% 73,400
20 島根県 14.0% 42,700
21 茨城県 13.9% 176,200
22 熊本県 13.8% 110,900
23 鳥取県 13.8% 34,400
24 静岡県 13.7% 228,000
25 北海道 13.7% 376,100
26 宮崎県 13.6% 72,500
27 青森県 13.5% 79,200
28 福井県 13.5% 41,800
29 奈良県 13.3% 81,500
30 岩手県 13.1% 72,200
31 新潟県 12.8% 124,300
32 京都府 12.6% 165,900
33 兵庫県 12.5% 341,700
34 富山県 12.5% 54,800
35 佐賀県 12.4% 42,100
36 福岡県 12.4% 310,100
37 秋田県 12.4% 55,300
38 愛知県 12.0% 413,400
39 千葉県 11.9% 343,800
40 滋賀県 11.6% 69,900
41 福島県 11.0% 86,400
42 東京都 10.9% 805,000
43 神奈川県 10.6% 462,100
44 埼玉県 10.6% 345,800
45 山形県 10.1% 43,800
46 沖縄県 9.8% 59,200
47 宮城県 9.1% 93,700
空き家の現状②

空き家に関する現状と課題

1.空き家の現状③

腐朽や破損のある空き家は200万戸超

 空き家のうち腐朽や破損がある住宅は賃貸用が22.7%、その他は33.1%を占め、双方合わせて200万戸を超えます(図表3)。国土交通省の調査(平成21年度空家実態調査)によると、空き家の9割近くは80年代以前に建築されたものであり、特に団地タイプの集合住宅が大量供給された70~80年代築の空き家は全体の半数近くを占めます。腐朽や破損がある空き家もこうした古い住宅に集中しており、空き家の中でも改修等により市場での流通が可能な住宅と、利活用が困難な状態にある住宅が混在していることがわかります。

図表3 空き家の腐朽・破損状況(全国)

資料:平成25年度住宅・土地統計調査(総務省)より作成
空き家の現状③

空き家に関する現状と課題

2.空き家に関する課題①

地域により異なる発生要因と対策

 そもそも、なぜ空き家は発生するのでしょうか。原因として最も多いのは賃借人などの退去で、別の住居への転居がこれに次いでいます(図表4)。賃貸住宅の空き家は需給のミスマッチが背景にありますが、自己居住用の持家では高齢者世帯の転居などがきっかけとなるケースが多く、地域によっても空き家の発生理由には違いがあります。

 既成市街地とニュータウンなどの郊外、さらには中山間地域では住宅需要の量や質が異なり、空き家の「予防」や「利活用」の可能性が高いケースと、「除却」せざるを得ないケースなどに分かれます。持家の居住者が転居などで空き家となる場合や、需要の減退で賃貸住宅が空き家となる場合など、地域や住宅の形態によって様々な対策が必要になると考えられます。

図表4 空き家の発生原因

資料:平成21年度空家実態調査(国土交通省・2010年3月)より作成

地域による空き家の特徴

既成市街地
(密集市街地・中心市街地)
敷地が未接道や狭小で、単独建替えが難しく放置
倒壊の危険がある空き家が、所有者不明で除却不可能
中心商店街の衰退により店舗併用住宅が空き家化
既成市街地(斜面市街地) 丘陵地や谷沿いなどで道路付けが悪く、車の進入が難しい集落で空き家が増加
既成市街地(歴史的市街地) 老朽化した町家などが居住者の転出を機に空き家化しそのまま放置
ニュータウン・団地等(戸建住宅含む) 利便性の高い都心に人口が回帰し、郊外の住宅需要が減退
子供の独立後、高齢夫婦が一人暮らしとなり、施設等への転居や長期入院等で空家化
中山間地域(農山村集落・漁村集落) 高度成長期以来の人口流出と高齢化に伴い、集落の空き家化が進行
相続人の遠方居住や高齢化などで空き家の管理が困難に
資料:「地方公共団体における空家調査の手引き」「空き家問題に取り組むにあたって」(国土交通省)を元に作成
空き家に関する課題①

空き家に関する現状と課題

2.空き家に関する課題②

認識すべき周辺に与える問題と所有者が抱える問題

 放置された空き家がもたらす問題としては、防災性や防犯性の低下、衛生の悪化・悪臭の発生、ごみの不法投棄や風景・景観の悪化、雑草の繁茂などが挙げられます。これらは公害などと同様に、ある者の行動(空き家の放置)が周辺住民等に対して不利益や損失を及ぼす外部不経済の典型例とされます(図表5)

 空き家の所有者側も問題を抱えています。空き家の損壊や倒壊等により周辺家屋や通行人等に危害を与えた場合、所有者に過失がなくても損害賠償責任が及びます。遠隔地に空き家を保有している場合などは、こうした工作物責任に十分な注意が必要です。また、空き家は傷みが早く建物価値の低下を招きやすいほか、第三者による占有や盗難、地震等の災害リスクにさらされることもあります。

 保有コストも無視できず、固定資産税の軽減措置は新たに施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」を踏まえて、危険な特定空家等に該当すると非適用になるとみられる(平成27年度税制改正大綱に明記)ほか、維持管理コストや一般住宅に比べて高い損害保険料がかかる場合があります。

図表5 空き家の発生による問題点

管理水準の低下した空き家や空き店舗の周辺の影響

※国土交通省による全国1,804全市区町村を対象とするアンケート結果(回答率67%)
資料:「空き家の現状と課題」(国土交通省)、大阪府不動産コンサルティング協会資料などより作成

空き家が周辺にもたらす問題 (外部不経済)

防災性の低下
 倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下、火災発生のおそれ
防犯性の低下
 犯罪の誘発
衛生の悪化・悪臭の発生
 蚊、ハエ、ねずみ、野良猫の発生、集中
ごみの不法投棄
風景・景観の悪化
その他
 樹枝の越境、雑草の繁茂、落ち葉の飛散 等

空き家の所有者における問題

工作物責任
 建物などの工作物を原因とする事故が発生すると、所有者に
過失がなくても損害賠償責任が及ぶ
建物価値の低下 (傷みが早く市場価値も減少)
第三者の占有、器物損壊、盗難
災害リスク (火災・風水害・地震等の被害)
その他 (近隣からの苦情・精神的な苦痛など)
固定資産税の軽減 (H27年度より危険な特定空家等は非適用に)
維持管理コスト (年に数回の見回り・清掃・修繕、外部委託費など)
損害保険料 (空き家は住宅扱いでなく、保険料が上昇)

空き家に関する課題②

空き家に関する現状と課題

2.空き家に関する課題③

空き家を利活用・処分できない理由は様々

 このように様々な問題がありますが、空き家を利活用・処分できない理由としては、親族間の共有になっていて合意形成ができないことや、所有者が認知症で意思能力がない、売却や賃貸化するだけの市場性がない、修繕コストをかけたくないなどの点が挙げられます(図表6)。また、仏壇・家財の存在や物置としての利用、他人に貸し出すことへの抵抗感、建物を除却すると固定資産税が上がるといった点も利活用・処分しない理由として挙げられます。さらに、何となく面倒、手が回らない、特にデメリットを感じていないことも積極的に対応しない原因となっているようです。

図表6 空き家を利用・活用できない・しない理由

①利活用や処分ができない場合

・共有で合意形成ができない
・認知症等で意思能力がなく、法律行為ができない
・売却・賃貸ともに市場性がない、賃貸の事業採算性が低い
・改修費用や解体費用を負担できない、したくない
・自分の代で手放せない、親戚の目がある
・将来利用するつもりがある
・どうしてよいかわからない

②利活用や処分等をしない場合

・仏壇・家財の存在
・物置として利用
・賃貸契約の賃借人保護への不安(返してもらえなくなる)
・他人に貸し出すことへの抵抗感
・空き家を除却すると固定資産税等が上がる
・何となく面倒、手が回らない
・特にデメリットを感じていない

資料:「未来につなげる空き家管理と利活用」(大阪府不動産コンサルティング協会)より作成
空き家に関する課題③

空き家に関する現状と課題

2.空き家に関する課題④

重要となる権利関係の問題

 所有者の意思能力や親族間の合意形成に関しては、権利関係などを明確にする際のネックがあります。空き家の相続時には所有者が不明な場合もあり、先祖名義や過去の売り主のまま登記を放置していたり、そもそも登記されていないケースがあります(図表7)

 他人が空き家の所有者を探すことは、個人情報保護の壁もあり困難を極めます。相続をきっかけに共有者が拡散すると、管理を行う際に共有者の半数の同意を得る必要があり、処分時には共有者全員の同意が必要となるため、こうした事態を防ぐには予め遺言や遺言信託を活用することが求められます。

 所有者に判断能力が欠けていれば事実上何もできなくなる可能性もあり、その際は任意後見制度や成年後見人制度を利用して家庭裁判所に申し立てる必要があります。所有者や共有者の一部が生死不明の場合も家庭裁判所に失踪宣告を申し立てると、相続人が売買契約や賃貸借契約を行うことが可能となります。いずれにしても、空き家になる以前の対応が重要であり、親族間で空き家の予備軍を発見したら、日頃から権利関係も含めた十分なチェックを怠らないことがポイントと言えるでしょう。

図表7 放置(管理不全)空き家における権利関係の問題点

1.空き家の所有者が不明な場合がある
 表示登記のみが義務であり、権利移転に関する登記制度に不備がある
 ・先祖の名義のまま登記を放置
 ・過去の所有者(売主)のまま登記を放置
 ・そもそも登記が行われていない
2.他人が放置空き家の所有者を探すことは困難
 ・個人情報保護の厚い壁
 ・共有者の拡散(相続など)
 ・所有権者が存在しないこともある

A.放置空き家の処分について
 ・共有者の拡散(多くは相続に起因する)
 ・所有者の判断能力の欠如
  任意後見制度や成年後見人制度の利用
 ・所有者や共有者の一部が生死不明
B.放置空き家が他人に害を及ぼした場合の責任
 ・建物の「所有者」の責任⇒無過失責任
 ・建物の「占有者・賃借人」の責任⇒過失責任

資料:「空き家の権利関係について」(大阪司法書士会)より作成
空き家に関する課題④

空き家に関する現状と課題

2.空き家に関する課題⑤

空き家問題における政策上の課題

 こうした空き家に関する問題を受けて、国や自治体も対策に力を入れるようになっています。前述の「空家等対策の推進に関する特別措置法」は議員立法により昨年11月に成立し、2015年2月に施行され、5月には完全施行されることになっています。また、自治体においても昨年10月時点では401の自治体が空家条例を制定しており、市町村における空き家対策の取り組みは着実に拡大しています。

 ただ、法律や条例の制定が進む一方で、空き家問題に取り組む際の政策上の課題も浮かび上がっています(図表8)。空き家は本来個人の財産であり、行政がどこまで関わるべきか、また専門知識を持つ職員等の不足や関係部局の調整などが課題となっています。

 空き家の利活用については、後述の空き家バンク制度などで地域住民やNPO、建築・不動産業界の連携が進んでいますが、不動産の知識や情報不足などから所有者と利用者のマッチングに苦慮している例も見受けられます。前述のように、相続等による所有者の不在・不明で管理が困難となっているケースも多く、空き家所有者とその親族はもちろん、行政や地域住民、NPO、建築・不動産業界等が解決に向け一層連携を深めていくことが重要な課題となっています。

図表8 空き家問題に関する政策上の課題

外部不経済をもたらす土地利用への問題に対し、多くの自治体では以下の点で対応が苦慮
 ・行政がどこまで関わるべきか明らかでない
 ・専門的知識やノウハウマンパワーが不足
 ・多数の部局に関わる案件も多く、部局間の調整に時間・手間がかかる
 このため、自治体が円滑かつ実効的に対応できる方策を検討することが必要
空き地・空き家の利活用に関しては、地域での取組もみられ、国においても各種政策の観点から
 支援措置等が講じられているが、以下の点が課題
 ・不動産の知識や情報の不足等から、所有者・利用者間のマッチングに苦慮
 ・地域住民、NPO等は、不動産の専門知識やスタッフの不足、資金調達の問題等から取り組みの継続性に不安
 ・空き家の活用に当たっての農地関係制度との連携・調整
 ・まちなか居住と郊外空き家の問題との連携・調整
 こうした課題に対し、幅広い関係者(行政、地域住民、NPO、建築・不動産関係者、
 農林業者・関係団体、流通・販売業者等)や関係施策間の連携・協調による対応が必要
また、相続等により所有者が不在・不明で管理が困難となっている空き地・空き家も多く、
 不動産の適正管理のためには、こうした問題について検討していくことが重要

資料:「空き地・空き家等外部不経済対策について」(国土交通省)
空き家に関する課題⑤

国・自治体等における取り組み

 空き家に関する現状と課題を踏まえ、ここでは国や自治体等の空き家に対する取り組みについて紹介します。

1.国における取り組み①

自治体の取り組みを支援する「空家等対策の推進に関する特別措置法」

 空き家に関する取り組みとして、各地の自治体では条例の制定など様々な施策を実施しています。しかし、空き家の情報収集や利活用・除却を促すには法制度や財政上・税制上の課題が多く、国が法的根拠を示して自治体の施策を支援することが必要でした。

 そこで2014年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が議員立法によって成立し、2015年2月に一部が施行されました。今年5月には、立入調査や指導・勧告・過料等に関する規定を含めた完全施行が予定されています(図表1)

 この法律では、国が定めた基本指針に基づき、住民に最も身近な市町村が対策計画を策定し、都道府県は技術的な助言等を行うなど行政の役割分担が明確になりました。対策計画では、空き家の実態調査を踏まえ、重点地区での所有者による適切な管理や利活用、除却後の方針のほか、「特定空家等」に対する措置などが定められることになります。

「特定空家等」の対策が充実

 「特定空家等」とは特に倒壊の危険などがあるものを指します。「特定空家等」に対しては、自治体による立入調査や所有者に対する修繕・除却に関する助言、指導、勧告、命令、行政代執行(命令等に従わない場合)が可能となりました。

 財政上の措置としては対策計画に基づく施策費用の補助や地方交付税の拡充が示され、税制に関しては特定空家等の固定資産税と都市計画税の住宅用地特例の適用除外が平成27年度の税制改正大綱に明記され、危険な空き家の除却や適正管理を促す方針が示されています。

※固定資産税の住宅用地特例:課税標準額を200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に減額。
※都市計画税の住宅用地特例:課税標準額を200㎡以下の部分は3分の1、200㎡を超える部分は3分の2に減額。

 また、所有者が明らかでない場合の特定方法については、不動産登記簿や住民票、戸籍謄本、固定資産課税台帳に記載された情報や、個人情報保護条例等で目的外利用が制限されている氏名・住所等について、必要な限度において市町村が内部利用できるようになりました。空き家対策は所有者などの理解と協力が不可欠であり、この法律だけで問題が一気に解消される訳ではありませんが、これまで市町村が展開してきた取り組みを促すものとして、今後の着実な進展が期待されます。

上記法律に関する情報の詳細は、以下のサイトで確認することができます。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html

図表1 空家等対策の推進に関する特別措置法の概要

出典:「空家等対策の推進に関する法律関連情報」(国土交通省)
国における取り組み①

国・自治体等における取り組み

1.国における取り組み②

多岐にわたる国の施策

 空き家に関する国の施策は、上記以外にも各種法令や補助事業など多岐にわたります(図表2)。例えば、各自治体が空き家の解消に向けて行う勧告や命令、代執行などの処分は、建築基準法第10条の保安上危険な既存不適格建築物等に対する措置に基づくものです。空き家の増加の抑制や利活用・除却に向けた支援策も、国土交通省の所管事業を中心に様々な制度が設けられています。

図表2 空家等対策に係る関連施策等の例(抜粋)

1.空家等に対する他法令による諸規制等

所管 施策等の名称 制度等の根拠 概要
国土交通省 建築基準法に基づく保安上危険な既存不適格建築物等に対する措置 建築基準法第10条 特定行政庁は、特殊建築物等のうち著しく保安上危険な既存不適格建築物等について、必要な措置の勧告、命令等ができ、命令に基づく措置が講じられないとき等は代執行できる。
法務省 地方税法に基づく不動産登記情報の通知 地方税法第382条 登記所は、建物の表示又は所有権等に関する登記をしたときは、10日以内にその旨を当該家屋等の所在地の市町村に通知しなければならない。

2.空家等の増加抑制策、利活用施策、除却等に対する支援施策等

所管 施策等の名称 制度等の根拠 概要
国土交通省 高齢者等の住み替え支援事業 住宅市場整備推進等事業費補助金交付要綱 高齢者等が所有する戸建住宅等を子育て世帯等へ円滑に賃貸する制度。子育て世帯等に広い住宅を提供するとともに、高齢者の生活に適した住宅への住み替え等を促進。
国土交通省 空き家再生等推進事業 小規模住宅地区等改良事業制度要綱 居住環境を整備改善するため、空き家等の活用・除却等に係る経費を支援
国土交通省 空き家管理等基盤強化推進事業 住宅市場整備推進事業費補助金交付要綱 空き家等の管理、売買、賃貸、解体について、所有者に対する相談体制の整備や関連するビジネスの育成・普及を支援
注)特定行政庁:建築主事を置く地方公共団体、およびその長。建築の確認申請、違反建築物に対する是正命令等の建築行政全般を司る行政機関
資料:「空家等対策に係る関連施策等 (施策等一覧)」(国土交通省・総務省 2015年2月)より作成
国における取り組み②

国・自治体等における取り組み

1.国における取り組み③

相談体制の整備や管理ビジネスの育成・普及も

 空き家対策は大きく「予防」「利活用」「除却」に分けられますが、最も基本となるのは空き家の発生を未然に防ぐ「予防」対策です。国土交通省の所管事業のうち「予防」に関するソフト施策としては、空き家管理等基盤強化推進事業が挙げられます(図表3)

 これは、空き家の管理や売買、賃貸等について支援するもので、所有者に対する相談体制の整備と関連事業の育成・普及の2つから成り立っています。前者は、空き家の管理に関する民間事業者や専門家で構成される団体等が行う相談業務や、啓発パンフレット等の作成に補助を行うものです。

 後者は、団体等が行う消費者保護や業界コンプライアンスに関する取り組みや、業務適正化マニュアル等の作成に対して補助を行うものです。これらの事業は、空き家所有者や地域住民、管理等に関わる業界が、空き家の予防に向けた知識やノウハウを高めるものとして注目されます。

図表3 空き家管理等基盤強化推進事業の概要

内容 空き家等の管理、売買、賃貸、解体について、所有者に対する相談体制の整備や関連するビジネスの育成・普及を行うソフト支援
制度
の概要
①空き家の適正管理等の相談体制の整備
【対象事業】 空き家の適正管理等に関係する民間事業者、専門家等により構成される団体等(都道府県の関与が必要)
【補助対象】 相談業務に必要となる基礎情報調査(事業者リスト等)
空き家等の所有者への情報提供に資する資料等の作成
相談事務の実施
空き家等の診断、調査体制の整備等
 ※相談事例集、相談マニュアル、適正管理等の啓発パンフレット等としてとりまとめ
②空き家の適正管理等に関するビジネスの育成・普及
【対象事業】 空き家の適正管理等に関係する民間事業者、専門家等により構成される団体等
【補助対象】 消費者保護を図る取組(第三者委員会設置等)
業界コンプライアンスの増進を図る取組(業界団体の設立等)
空き家管理ビジネスの事業環境整備を図る取組(標準モデル契約約款等)
その他空き家の適正管理等に関連するビジネスの育成・普及に必要と思われる取組等
 ※業務適正化マニュアル等としてとりまとめ
備考 制度根拠 住宅市場整備推進等事業費補助金交付要綱   事業期間:平成25~27年度  補助率:定額
出典:「空家等対策に係る関連施策等(個票)」(国土交通省・総務省 2015年2月)より作成
国における取り組み③

国・自治体等における取り組み

2.自治体等における取り組み①

行政の取り組みは所有者の特定と支援・規制

 市町村では、関係部局が連携して現状調査から支援や規制の対策を検討し、所有者に管理等の選択肢を提示する役割が挙げられます(図表4)。特に売買や賃貸等では、「売り手・貸し手」と「買い手・借り手」のマッチングや事前のカウンセリングが重要となるため、行政だけでなく地域住民やNPO、業界団体などの協力と連携がカギとなります。

図表4 行政における取り組みと庁内外との連携

出典:「空き家問題に取り組むにあたって」(国土交通省 2015年2月)
自治体等における取り組み①

国・自治体等における取り組み

2.自治体等における取り組み②

400以上の自治体が空き家条例を制定

 2014年10月時点で全国401の自治体が空き家条例を設けています。先行する群馬県下仁田町をはじめ多くの自治体では勧告や命令、公表等の規定にとどまりますが、秋田県大仙市のように空き家の倒壊防止のため代執行を行うケースも増えています。東京都足立区では勧告に従った場合、解体費の半額を助成する制度(上限100万円)を設けており、所有者の同意を前提に危険な外壁の除去などを有償で行う例もみられます(図表5)

図表5 地方公共団体の条例による規制措置の例

出典:「空き家問題に取り組むにあたって」(国土交通省 2015年2月)
自治体等における取り組み②

国・自治体等における取り組み

2.自治体等における取り組み③

支援措置では活用などを促す事業への取り組みも

 所有者による利活用などを促す支援策では、空き家再生等推進事業が挙げられます(図表6)。活用タイプでは空家等対策計画に定められた地区等を対象に、空き家を体験宿泊施設や交流施設等に改修する際の費用について助成されます。除却タイプでは、対策計画の対象地区等を対象に、防災性や防犯性の向上を目指して空き家等の除却費を助成するものです。

 これまでは更地にすると固定資産税等の住宅用地特例が外れ、税率が数倍になることが空き家放置の一因とされてきました。前述のように特定空家等ではこの特例(前述:「国における取り組み①」参照)が非適用になる見通しですが、上記の除却事業では取り壊し後にポケットパークのような形で無償提供すると、固定資産税を減免する福井県越前町のケースもみられます。

図表6 地方公共団体の活用・除却による支援策 (空き家再生等推進事業)の例

活用事業タイプ

・概 要: 空き家住宅・空き建築物を改修・活用して、地域の活性化や地域コミュニティの維持・再生を図る
・対象地域: 空家等対策計画※1に定められた空家等に関する対策の対象地区
空き家等の集積が住環境を阻害し、地域の活性化を阻害している産炭等地域又は過疎地域
空き家等の集積が住環境を阻害し、地域の活性化を阻害している地域住宅計画※2又は都市再生整備計画※3に定められた区域
・対象施設: 本事業の実施時に使用されておらず、今後も従来の用途に供される見込みのない空き家、空き建築物
・助成対象: ①空き家等を体験宿泊施設、交流施設、体験学習施設、創作活動施設、文化施設等に改修する費用
②空き家等の取得費(用地費を除く)
③空き家等の所有者の特定に要する経費
④空家等対策計画の策定等に必要な空き家住宅等の実態把握に要する費用
※1 空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する空家等対策計画
※2 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法に規定する地域住宅計画
※3 都市再生特別措置法に規定する都市再生整備計画
※5 要する費用に2/3を乗じた額と地方公共団体が交付する補助金の額のうちいずれか少ない額
※6 国費は、地方公共団体補助の1/2

除却事業タイプ

・概 要: 不良住宅、空き家住宅又は空き建築物を除却して、防災性や防犯性を向上させる
・対象地域: 空家等対策計画※1に定められた空家等に関する対策の対象地区
空き家等の集積が住環境を阻害し、地域の活性化を阻害している地域住宅計画※2又は都市再生整備計画※3に定められた区域
居住誘導区域※4を定めた場合はその区域外で空き家住宅等の集積が居住環境を阻害し、又は地域の活性化を阻害している区域
・対象施設: 不良住宅(住宅地区改良法第2条第4項に規定)、空き家、空き建築物(跡地が地域活性化に供されるもの)
・助成対象: ①不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の除却等に要する費用
 (「除却工事費」+「除却により通常生ずる損失の補償費」)※5×8/10
②不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の所有者の特定に要する費用
③空家等対策計画の策定等に必要な空き家住宅等の実態把握に要する費用
※1 空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する空家等対策計画
※2 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法に規定する地域住宅計画
※3 都市再生特別措置法に規定する都市再生整備計画
※4 都市再生特別措置法に規定する居住誘導区域
※5 除却工事費については、除却工事費の1㎡当たりの額(一定の単価の上限あり)に、不良住宅又は空き家住宅の延べ面積を乗じて得た額を限度
注)空き家等については、空家等対策計画に基づいて行われる場合に限る。ただし、平成27年度から3年間の経過措置期間を設ける
※6 国費は、地方公共団体補助の1/2
資料:「空き家再生等推進事業」(国土交通省 2015年2月)より作成
自治体等における取り組み③

国・自治体等における取り組み

2.自治体等における取り組み④

空き家対策の本丸は「予防」

 空き家対策で重要な「予防」では、行政が事業者や関係団体等と連携して相談業務に取り組む施策もみられます(図表7)。東京都品川区では、不動産事業者や(一社)移住・住みかえ支援機構と協働して住み替え相談センターを開設。専門家による相談等を通じて、空き家になる前に所有者に売却や賃貸等を検討してもらい、福祉団体等とも連携しながら住み替えを支援する体制を構築しています。

図表7 空き家の予防に関する支援策の例

八潮地区住み替え相談センター(東京都品川区)

・空き家になる前に、所有者に物件の処分(売買・賃貸・除却)について検討してもらう。
・地区内の世代のバランスと活力ある地区を目指して、品川区、ロイヤルハウジング販売㈱、(一社)移住・住みかえ支援機構が協働して、「住み替え相談センター」を開設。品川成年後見センター、八潮在宅介護支援センター等の協力団体と連携し、高齢者の住み替えをトータルサポート。

出典:「空き家問題に取り組むにあたって」(国土交通省 2015年2月)
自治体等における取り組み④

国・自治体等における取り組み

2.自治体等における取り組み⑤

知っておきたい空き家情報の提供サイト

 売却や賃貸を断念するケースもありますが、実は自治体で最も多い施策は売却等を支援する空き家情報の提供です。空き家バンクは、自治体が不動産事業者や関係団体等と連携し、所有者から登録された空き家を、買い手や借り手とマッチングさせる制度です(図表8)。多くの自治体では物件の募集や検索用の専用サイトを設けており、改修費の補助や相談窓口の紹介を行う例もあります。実際の取引は、自治体に登録する不動産事業者等を通じて行うことになります。

 全国の空き家バンクを紹介するポータルサイトもあり、不動産ジャパンにおける「空き家情報提供サイト」も「借りる検索」「買う検索」ボタンから実際の空き家情報を見ることができます。大切な空き家を利活用したい所有者の方や、上手に空き家を探したい方にとって、こうしたサイトは大いに役立つことになるでしょう。

図表8 空き家情報の提供に関する支援策

空き家バンク制度(大阪府河内長野市)の例

個人が所有する空き家等の有効活用を通じて、河内長野市への定住促進と地域の活性化を図る
空き家等の売買・賃貸・マイホーム借上制度の利用を希望する所有者と、利用希望者のマッチングを行う
マイホーム借上制度は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構がシニア(50歳以上)のマイホームを最長で終身にわたって借上げ転貸し、安定した賃料収入を保証するもの。建物の登録には一定の要件があり、所定の手数料が必要となる
登録住宅は、賃貸目的で建築された住宅、売買・賃貸に適さない住宅、主に不動産業を営むものが所有する住宅以外

出典:河内長野市ホームページ

空家住宅情報のポータルサイト

全国の空き家バンク等の約4割(196サイト;平成25年5月時点)を網羅
希望エリア、アピールポイント等の条件を指定して検索可能
地方公共団体向の取り組み事例や、国の主な支援制度等を紹介

出典:「空き家問題に取り組むにあたって」(国土交通省・総務省 2015年2月)
自治体等における取り組み⑤

民間事業者等を活用した事例

 国や自治体等における取り組みに続いて、ここでは民間事業者等が提供する空き家に関する主なサービスについて紹介します。

 利用が考えられる主なサービスとしては、建物の状態に応じて空き家の予備軍をはじめ、現状維持、利活用、除却などのタイプに分けられます(図表1)。対応の方針や利用サービスのメニューは変わるため、各段階において十分な検討が必要となります。

1.予防に関するサービス①

まずは相談から

 所有者が居住している状態の空き家予備軍については、空き家にしない「予防」措置が重要になります。特に、高齢者世帯では生活に便利な住宅への転居や親族との同居、施設等への入居など、将来の住み替えに備えた相談サービスや、当面の見守り・家事代行サービス等が求められています。こうしたサービスは、各地のNPO法人や不動産業界団体、社会福祉法人等が提供しており、関心のある方は地元の自治体等に問い合わせてみると良いでしょう。

図表1 空き家に関する主な利用サービスのタイプ

[建物の状態] [対応の方針] [利用が考えられるサービスや用途の例]
空き家予備軍 予 防
(所有者等が居住)
住み替え相談サービス
見守り・家事代行サービス
マイホーム借り上げ制度(JTI)
空き家(現状維持) 管 理
(誰も居住・利用しない)
住宅の維持管理サービス
 (定期巡回による確認・清掃等)
空き家(利活用)
<改修等を伴うことが多い>
自己利用
(親族等が利用)
親族・相続人等が居住・利用
 (修繕・クリーニングサービス)
賃 貸
(所有したまま収益化)
建物の賃貸仲介(福祉施設等への転換も)
貸主DIY賃貸、建物の部分賃貸
一旦、建物を除却して賃貸住宅に建て替え
売 却
(土地・建物を手放す)
土地・建物の売買仲介(古家付き)
建物のみの売買仲介(借地)
不動産事業者による買取再販
危険な放置空家等
(除 却)
賃 貸
(土地を所有したまま収益化)
コインパーキング
トランクルーム、資材置き場等
貸し農園
売 却
(土地を手放す)
土地の売買仲介
 (更地にして市場性を高める)
寄付等
(土地を手放す)
自治体等へ寄付・使用貸借
 (ポケットパーク・防災空地化等)
予防に関するサービス①

民間事業者等を活用した事例

1.予防に関するサービス②

注目されるマイホーム借り上げ制度

 (一社)移住・住み替え支援機構が2006年10月から提供するマイホーム借り上げ制度は、シニア世帯(50歳以上)が所有する持家を同機構が終身で借り上げ、3年の定期借家契約等で子育て世帯等に転貸(期間指定も可)するものです(図表2)。取扱件数はこれまで全国で600件台に留まりますが、比較的広い個人宅を空き家になる前に賃貸する方法として注目されます。

 所有者にとっては、将来自宅に戻りたい場合や子世帯に相続させる場合にも利用可能で、空き家(家賃)保証も付いています。賃借人も良質な住宅を敷金なしで借りられるほか、壁紙などの改修が可能な点がメリットとなっています。ただ、対象となる住宅は一定の耐震性を確保する(満たない場合は耐震改修する)必要があり、借上家賃は相場より安くなる点に注意が必要です。

図表2 空き家の「予防」に関する事例

マイホーム借り上げ制度

出典:(一社)移住・住みかえ支援機構ホームページ
予防に関するサービス②

民間事業者等を活用した事例

2.管理に関するサービス

増えている空き家の管理サービス

 すでに空き家の状態となり当面利用しない場合は、建物の劣化を防ぐために適切な維持管理が求められます。遠隔地など自分で管理が難しい場合を対象に、ここ数年で不動産会社や警備会社、NPO法人等が提供する空き家の管理サービスが拡大しています。内容としては、月1回程度の定期巡回による通風・換気や清掃、郵便物の整理などが中心で、目視による傷み具合の確認や内部の雨漏り確認などを行うケースもあります(図表3)

 ただ、空き家に家財を残している場合や鍵を預ける場合の契約内容は十分チェックする必要があります。巡回時の確認方法や報告の仕方も含めてサービスのメニューや水準は事業者によって異なるため、業務内容と料金のバランスをよく検討することが必要です。

図表3 空き家の「管理」に関する事例

標準的な空き家管理サービスの例

サービス内容 見回る際に行っている割合 サービスの概要
通風、換気 75.0% 窓、扉などの開口部を一定時間開放し、建物内の空気を入れ替えることで、カビ等の発生を防ぐ
清掃 64.6% 床、家具等の拭き掃除、掃き掃除
(清掃の範囲や内容は顧客の要望による)
庭木の状態確認 58.3% 敷地内の植栽や雑草を確認し、伸びすぎている場合には顧客に報告
郵便ポスト内の整理整頓等 58.3% 郵便ポストにチラシ等の投函物が溜まっていないかを確認
溜まっている場合は、顧客に連絡し処理方法を確認
建物の外観確認 54.2% 建物外観を目視で確認し、外壁にひびが入っていないか、屋根瓦などが剥がれていないかなどを確認
通水 31.3% 台所、洗面所などの水道の通水
建物内部確認(雨漏り確認) 20.8% 建物内を点検し、雨漏りや壁紙の剥がれ等を確認
出典:「空き家管理サービスにおける標準的なサービス内容および提供要領」空き家ビジネス推進協議会
出典:「個人住宅の賃貸活用ガイドブック」(国土交通省 2014年3月)
管理に関するサービス

民間事業者等を活用した事例

3.利活用に関するサービス①

自分で空き家を利用する場合

 空き家利用の最も身近なケースは、親族や相続人等による居住や利用です。住宅は空き家の期間が長いほど傷みが大きくなり、新しく住む人のライフスタイルも以前と異なるため、リフォームやクリーニングサービス等の利用が多くなります。依頼先は一般的な住宅と変わりませんが、アフターサービスも考えると空き家の近隣で適切な業者を探すことが望まれます。

遠隔地の賃貸・売却では空き家バンクの活用も

 空き家を賃貸に出したり売却することも、一般的なケースとして考えられます。この場合の依頼方法は通常の不動産仲介と変わりませんが、遠隔地の場合は仲介業者の選択が難しくなるため、前述の空き家バンクのような制度の有無について、地元の自治体や不動産業界団体等に問い合わせることが求められます。

修繕が必要な空き家ではDIY型賃貸も一考

 これまで賃貸物件の修繕は貸主側が行うことがほとんどでしたが、最近では借主側が自費で室内をリフォームできるDIY(Do It Yourself)型賃貸が広がりつつあります(図表4)。すでに流通している物件をみると、躯体に影響のない範囲でリフォームが認められ、退去時の原状回復義務もありませんが、造作の買取請求は認められないケースが多いようです。

 空き家の賃貸では劣化した箇所を改修する必要性が高いため、修繕費の負担がネックとなっていました。この方法では、貸主は修繕費をかけずに現状のまま賃貸でき、DIY費用を負担した借主の長期入居も見込めるため、安定経営につながることが考えられます。借主も自分好みに改修ができ、自費でDIYするため賃料を相場より安くできるほか、原状回復費用がないことがメリットとなります。この方式を推奨する国土交通省ではガイドブックを作成しており、以下のURLで確認することができます。 http://www.mlit.go.jp/common/001039342.pdf

図表4 空き家の「利活用」に関する事例 (新たな賃貸システム)

借主DIY型賃貸

出典:「個人住宅の賃貸活用ガイドブック」(国土交通省 2014年3月)

DIY型賃貸とは?

・貸主が現状のまま賃貸
 (賃料を安く設定できる)
・借主が基本的に自費で修繕やDIYを行う

DIY型賃貸の課題

・借主の改修資金の負担がどこまで可能か
・一部でも貸主負担とする場合の工事資金の回収方法
・サブリース契約とし、転貸人(事業者)が一括で前払いし改修費用を捻出することも要検討

部分(パーシャル)賃貸

出典:「未来につなげる空き家管理と利活用/パーシャル賃貸システム」((一社)大阪府不動産コンサルティング協会 2015年2月)
利活用に関するサービス①

民間事業者等を活用した事例

3.利活用に関するサービス②

地域のニーズも踏まえて柔軟に

 空き家を物置代わりにしている所有者も多いようですが、居室の一部をトランクルームにし、その他の部分を貸し出す部分(パーシャル)賃貸という考え方も提唱されています。また、戸建住宅の空き家をシェアハウスや地域の福祉施設・交流施設に転換するケースもあります。いずれも改修費用を伴いますが、地域のニーズを的確に捉えることで空き家活用の選択肢は広がることが考えられます。

空き家によっては不動産業者が買い取る場合も

 空き家の売却に関しては、建物をリフォームした上で売却する方法や、建物を現状のまま「古家付き」として土地扱いで売却する方法、土地を所有したまま建物のみ売却する方法もありますが、不動産事業者に買い取ってもらう買取再販という方法もあります(図表5)

 これは、事業者が空き家を買い取った後リフォーム等を行い、再度顧客に販売するものです。リフォーム工事は内装や水周りが中心ですが、一部では建物を検査し大規模な修繕を行った上で販売するケースもみられます。ただ、新築より販売価格を低く設定するため、空き家の買取価格は安くなる傾向にあります。違反建築や瑕疵が明確でない場合や相続人が分散している場合などは、買い取りの対象とならないこともあります。

図表5 空き家の「利活用」に関する事例 (買い取り再販による売却)

不動産事業による買取再販

仕組み 不動産事業者等が住宅(空き家)を買い取り、リフォーム等を行った上で再度顧客に販売する
対象となる住宅 マンション:旧耐震物件でも対象となることが多い
戸建住宅:マンションに比べると築浅の物件が対象となることが多い
事業の内容 リフォームは、内装・水周りが中心
インスペクション(住宅検査)等に基づき、リフォームプランを立てるケースも
販売後の自社保証をつけることも多いが、事業者によっては耐震・断熱改修を行い、既存住宅売買瑕疵保険を付けて販売するケースも
老朽化が進んでいる場合は、建物を取り壊して新築の建売住宅として販売することもある
留意点 特にエリアの限定はないが、基本的には住宅取得ニーズのある地域が対象となる
新築価格の6~7割程度で販売されることが多く、仕入れ(空き家の購入)価格も安くなる
違反建築のおそれがある建物は対象外となるケースが多い
(市場性に応じて増築・減築や耐震化等の是正工事、建て替えを行い事業対象となることも)
瑕疵(建物の不具合等)が明確でない住宅は、対象になりづらいことが多い
相続人が分散していたり、明確でないケースは、対象になりづらいことが多い
資料:「相談業務に必要となる基礎情報調査」大阪の住まいの活性化フォーラムなどを元に作成
利活用に関するサービス②

民間事業者等を活用した事例

4.除却に関するサービス①

除却で広がる選択肢

 利活用の方法を十分検討した上で、さらに必要な場合は除却という選択肢も考えられます。長年放置したままの空き家は、近隣に悪影響を与えてしまうおそれがあり、住宅自体の資産価値も損ねてしまいます。除却では、土地を所有したまま賃貸収益を得る方法や、更地にして売却する方法のほか、自治体等に寄付する方法などもあります。

 更地にして賃貸収益を得る方法では、比較的初期投資が少ないコインパーキングやトランクルームの設置などが一般的ですが、周辺のニーズを考えて賃貸住宅や福祉施設を新築するケースもあります(図表6)。賃貸では市場性の検討が不可欠となりますが、自治体等の助成金を活用できる場合もあり、税務や資金計画を含めて所有者の立場に即した提案ができる事業者を選ぶことが重要となります。

図表6 空き家の「除却」に関する事例

除却前後の活用例の違い

除却前
空き家管理
賃貸
売却(建物付)
自己利用・その他

広がる選択肢

広がる選択肢

除却後
コインパーキング(自動車)
コインパーキング(自転車・バイク)
トランクルーム
賃貸住宅、シェアハウス
グループホーム等の福祉施設
売却(土地のみ)
資材置き場・貸し農園・その他
資料:「空き家の管理・活用の具体的事例」(住宅再生推進機構 2015年1月)などより作成
除却に関するサービス①

民間事業者等を活用した事例

4.除却に関するサービス②

自治体に無償で貸し出しするケースも

 一部の自治体では、老朽化した空き家を除却した後、跡地をポケットパークとして整備する例もみられます(図表7)。本来、空き家は個人の資産ですが、所有者が自身で積極的な利活用を行わない場合は、その利用を自治体等にゆだねることも選択肢として考えられます。特に借り手や買い手が少ない地方の中山間地域や都市部の密集市街地などでは、防災や防犯、地域交流拠点を確保する意味で、こうした取り組みは注目に値します。空き家を個人的に利活用することはもちろん、社会的な資産として捉え直すことも求められるようになっています。

図表7 空き家の「除却」に関する事例 (自治体への無償貸し出し/ポケットパーク化)

福井県越前町の例 (越前町安心で潤いのあるまちづくり事業)

対象 ①住宅密集地区に位置し、家屋の2面以上が隣家に面している空き家
②現地調査に基づき、町が防災上、防犯上危険と判定した空き家
③土地・建物の所有者が明確
④土地・建物の一切の権利・権限について疑義が解決済み
要件 空き家を取り壊し、跡地をポケットパークにして、10年間以上町に無償で貸すことを所有者が承諾
補助額 上限200万円(補助率等の制限なし) *建物滅失登記費用は所有者負担
ポケットパークは、町による直接整備(整地・排水工事、花壇・ベンチ・フェンス・標識等の設置)

[除却前] 延床面積 約120㎡

[除却後] 跡地 約150㎡にポケットパークを整備

出典:「空き家問題に取り組むにあたって」(国土交通省 2015年2月)
除却に関するサービス②
空き家に関する現状と課題
空き家の現状①
空き家に関する現状と課題
空き家の現状②
空き家に関する現状と課題
空き家の現状③
空き家に関する現状と課題
空き家に関する課題①
空き家に関する現状と課題
空き家に関する課題②
空き家に関する現状と課題
空き家に関する課題③
空き家に関する現状と課題
空き家に関する課題④
空き家に関する現状と課題
空き家に関する課題⑤
国・自治体等における取り組み
国における取り組み①
国・自治体等における取り組み
国における取り組み②
国・自治体等における取り組み
国における取り組み③
国・自治体等における取り組み
自治体等における取り組み①
国・自治体等における取り組み
自治体等における取り組み②
国・自治体等における取り組み
自治体等における取り組み③
国・自治体等における取り組み
自治体等における取り組み④
国・自治体等における取り組み
自治体等における取り組み⑤
民間事業者等を活用した事例
予防に関するサービス①
民間事業者等を活用した事例
予防に関するサービス②
民間事業者等を活用した事例
管理に関するサービス
民間事業者等を活用した事例
利活用に関するサービス①
民間事業者等を活用した事例
利活用に関するサービス②
民間事業者等を活用した事例
除却に関するサービス①
民間事業者等を活用した事例
除却に関するサービス②